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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
シャドウ登場!
59/198

激突!

「あんたって!」


 タバサは憤然となった。


「さっきの話じゃ、あんたに責任があるんでしょ? それなのに、尻尾を巻いてすたこらさっさと逃げ出すつもり?」


 二郎は恬淡と頷く。


「当たり前さ! こちとら、十年も掛けて【ロスト・ワールド】攻略の秘策を練っているんだ。向こうがのこのこ、こっちへ出向いてきた今こそ、おれの秘策を使うチャンスなんだ。しかし、ここじゃない。おれのチャンスは、別の場所にある。まあ、【蒸汽帝国】の軍隊がどう戦うか、お手並み拝見といこうや」


 二人の話を聞きつけたのか、タークが険しい表情になって二郎に詰問する。


「お前! この前の、王宮に忍び込んできた電脳盗賊だな! これは、お前の策略か? あやつとお前、どう関係があるのだ?」


 二郎は、うんざりした表情になる。


「だから、忠告したじゃないか。公演を中止したほうがいいと。第一──」


 二郎の言葉が終わらぬうち、軍隊と巨大化したシャドウの間に激突が起こった。


 エミリーを握りしめたまま、シャドウは大股で武器を構える軍隊の中に踊り込んだ。爪先で、滅茶苦茶に蹴り上げる。兵士はエミリーに当たらないよう、蒸汽砲を狙わなくてはならず、形勢は圧倒的に不利であった。


 二郎はシャドウの背後に渦巻く【ロスト・ワールド】の〝門〟を見て叫ぶ。


「逃げろっ! こりゃ、愚図愚図していられないぞ!」

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