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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
シャドウ登場!
52/198

宣言

 渦巻きは舞台から観客席まで伸びていた。渦の中心は、黒々とした闇のみが広がっている。


 ぱっ、と眩しい光が闇を貫いた!

 真っ白な、目を突き刺すような光に、タバサは思わず目を瞑る。


 再び目を開けたとき、舞台には光の階段ができていた!


 驚き、タバサも立ち上がる。階段は、まるで無限の彼方に続いているかのようだ。階段の先は、遥か高みへと繋がっている。


 階段の上に、一人の人物がぽつんと立っている。


 真っ白な光をバックに、異様なほど人物の姿は黒々としていた。

 真っ黒な艶のない黒い肌。黒いスーツ。しかし微かな風に靡く頭髪は、雪のような白銀色を呈している。


 ことり、ことりと靴音を響かせ、人物はゆっくりと階段を降りてくる。


 やっと表情が見受けられるほどの距離に近づいた。


 長い顔、どことなく狼を思わせる野性的な顔つき。切れ上がった両目。表情には、一辺の暖かみなど微塵もなく、酷薄ともいえる厳しい表情のみが支配している。

 不意に、男の顔が歪んだ。笑顔を見せたのだ。

 だが、どう見ても、笑顔と言うには凄絶すぎる表情である。獲物を狙う肉食獣の笑み、と形容できそうだ。


 さっ、と男は両手を広げた。


「お初にお目に掛かる! 我こそは【ロスト・ワールド】の主人なり! 全〝世界〟の支配者と運命付けられた、その名もシャドウ! 【蒸汽帝国】の諸君! 喜べ、今日より【蒸汽帝国】は、我が【ロスト・ワールド】の傘下に入ったのだ!」


 得意そうにシャドウと名乗った男は、高々と顔を仰向けた。真っ白な髪の毛が、ぶあっとたてがみのように左右に広がる。


 シャドウの視線は、舞台に呆然と棒立ちになっているエミリー皇女に向けられている。皇女は、シャドウの凝視に、身動きもできず、愕然と凝固している。

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