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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
現実の味
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コンビニ

 洋子は食事を諦めた。とてもじゃないが、食えたものではない。


 仮想現実で大部分を過ごす多くの人は、この食事でも満足できるのだが、洋子は今日ようやく初めて接続した初心者である。何か、買いに行こうと思ったのだ。

 それでも家を出る前、洋子は簡単な身づくろいを済ませ「買い物に行ってくる」と母親に書置きを残し、外へ出た。


 もし仮想現実が普及する前の人間が、街の様子を一目でも見たら、「ここは廃墟か」と驚くだろう。


 ほとんどの家は壁に罅が走り、屋根は穴が空いて、それを簡単なビニール・シートなどで覆う応急修理で済ませている。

 ビルもまた壁は薄汚れ、街路には亀裂ができて、そこから雑草がぼうぼうに生い茂る。

 公園の木々は手入れもされず、地面が剥き出しのところは頭も隠れそうな丈の長い草に一面どこまでも占領されていた。しかし、洋子にしてみれば、子供の頃から見慣れている風景なので、何の感慨も起こらない。


 住宅街から少し離れた幹線道路沿いに、洋子の目当てのコンビニがあった。


 買い物を選び、カウンターに向かうと、遠隔操作義体ウォルドゥの店員が接客してくれる。機械のボディに、顔の辺りにモニターがあり、そこから仮想現実から接続された店員の顔だけが映し出されている。


 弁当と、飲み物の代金を払い、洋子は買い物袋を下げ、近くの公園に向かった。

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