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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
電脳歌劇の夕べ
33/198

食事

「いったい、どういうつもり?」


 二郎の案内してくれたレストランに入って、タバサは猛烈な食欲で、出された食事を片端から平らげつつ、質問する。二郎は一杯のコーヒーを注文しただけで、それも少ししか口にしない。


「あんまり食べ過ぎるなよ。胃に悪い」


 もぐもぐ、くちゃくちゃと盛んに咀嚼するタバサの顔に疑問が浮かんだのを見てとり、二郎は言葉を足した。


「仮想現実で出される食事は、本当の食事じゃないんだ。あくまでも君の脳にそういった幻影を伝えているだけでね。

しかし、脳は食事を摂り、胃に食物が運ばれたという信号を受け取っている。結果、胃に何も入っていないのに、胃酸が大量に分泌されることになる。

 仮想現実ならいくら食べても太らないと安易に考えて食べすぎで、胃潰瘍を患った連中を山ほど知っているからね」


 かちゃり、と音を立て、タバサはナイフとフォークを置いた。


 グラスに注がれた水を飲み込むと、改めて質問をする。

「だから、どうして変装なんかしたの?」


 二郎はこりこりと首筋を掻いた。

「ちょっと、騒ぎを起こしちまってね。それで、姿を変える必要があった。しかし、こいつは……」と、膝においた鳥打帽を取り上げる。帽子には電脳盗賊の紋章が付いている。


「紋章は絶対に外すことができないんだ。どんな姿になっても。これは、おれの分身ペルソナに、データとなって書き込まれているからな。まあ、でも一寸くらいは誤魔化せるだろうね。君もすぐ、おれだとは気付かなかったらしいし」


「騒ぎって、何よ?」


「〝王宮〟に忍び込んだ」

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