光
大小無数のブロックが次々と〝門〟に飛び込み、シャドウの居城は徐々に解体されていった。天井を構成していたブロックも続いて、隠されていた真っ赤な空が見えてくる。
ひゅう……。
風が吹き込み、シャドウの長い髪を弄んだ。
目映い光に、二郎は目を細めた。
光?
二郎は振り返った。見ると〝門〟が金色に発光している。二郎は目を瞠った。あの光も【パンドラ】プログラム改造の結果なのだろうか?
いや、違う。
いつの間にか、シャドウも〝門〟を見詰めているが、驚きの表情を浮かべているのを認めた。
シャドウの目が、まん丸になった。
「なんだ、あれは?」
いよいよ〝門〟の光は、強烈に輝いた。
もう、まともに見ることも困難なほどだ。光には蒸汽軍も、真葛三兄弟も、もちろんタバサもゲルダも気付いていた。全員その場に立ち止まり、呆気に取られ光に顔を向けている。
ゆらり……と、光の中に何かが動いている。人の形に見える。が、途方もなく大きい。ぐーっと人の形は、その場から立ち上がり、やがて光は弱まって、三面六臂の巨人が姿を表す。
巨人はゆっくりと頭を動かし、二郎とシャドウに視線を向けた。シャドウは、ぱくぱくと口を動かしているだけで、声も立てられないほど驚いている。
「何だ、あれは?」
やっと掠れ声が出た。二郎は答えていた。
「【裁定者】だよ。仮想現実の守り神だ」




