表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
電脳経済事情
19/198

ハビタット

【蒸汽帝国】の〝ゲート〟は、厳しい大金庫の扉のようなデザインであった。


 どっしりとした鉄の板に、無数のボルトが埋め込まれ、巨大な鉄輪の取っ手がついている。

 タバサは、思わず、といった感じで尻込みする。それを見て、二郎は軽く笑った。


「どうした? ここが【蒸汽帝国】の〝門〟だぞ。心配するな、中に入っても、閉じ込められる心配はない」

「な、何もそんなこと、心配していないわよ。ただ、ちょっと驚いただけだわ」


 二郎に内心をずばり言い当てられ、悔しいのだろう。タバサの顔は、真っ赤になっていた。


 二郎は一歩、すっと〝門〟に近づき、無造作に鉄輪を握る。ぐい、と捻ると、呆気なく鉄輪はぐるりと回転し、音もなく扉は開いていく。


 内部に踏み込むと、そこは十九世紀末の、鉄道の駅舎風になっていた。

 かっちりとした帽子を被った駅員が一人、立っている。年齢四十代半ばと思われる、中年の男性である。

 目尻に柔和な笑い皺が刻まれ、駅員は愛想のいい笑顔を二人に向けた。


「ようこそ! ここからが【蒸汽帝国】になっております! 切符をお買い求め下さいますか?」

「切符?」


 タバサは不審そうに二郎に尋ねる。二郎は頷いた。

「【蒸汽帝国】の首都に行くには、鉄道を利用しなくてはならないんだ」


 二郎は駅員に向かい指を二本立てて見せた。二人分、という意思表示である。駅員は上機嫌に頷いて見せた。

「百二十〝ハビタット〟になります」


 二郎は無言で頷く。駅員は二枚の切符を渡した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ