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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
【ロスト・ワールド】の秘密
179/198

 その瞬間、蒸汽軍全員の凍りついた時間が解けた!


 ぱっと口を開き、タークが叫んでいる。

「エミリー皇女!」


 が、視線の先にエミリー皇女はいない。きょろきょろと辺りを見回すと、驚きに両目が、くわっと見開かれた。エミリー皇女は床に長々と横たわっている。気絶しているのだ!


「エミリー!」


 顔中を口にして、タークは叫んでいた。だっとパチンコに弾かれたように飛び出し、脇目も振らず、倒れているエミリーに突進する。

 床に膝まづくと、エミリー皇女を抱き起こす。荒々しく揺さぶり、大声を上げた。


「エミリー皇女、ご無事ですかっ!」


 揺さぶられ、エミリー皇女はゆっくりと目を開いた。ぱちぱちと何度か瞬きを繰り返し、徐々に正気を取り戻す。唇が微かに動き、両目がしっかりと覗きこんでいるタークの心配そうな顔を捉えていた。

 息を吐き出し、唇から言葉が押し出される。


「パ……パ……?」


 タークは顔を真っ赤にさせ、怒鳴る。

「何ですと? 今、何と仰いました?」

「パパ……、あなたは、あたしのパパでしょう?」

「エミリー!」


 しっかりとエミリー皇女を抱きしめ、タークは叫んでいた。


「ふむう……」


 抱き合うエミリーとタークを見詰め、玄之丞は真剣な表情になっていた。やがて、理解の色が浮かび、晴れやかな笑みに変わる。


「判ったぞ!」


 知里夫は玄之丞を見上げる。

「何が判ったんだ、兄貴」

 玄之丞は腕を組み、重々しく呟いた。

「【ロスト・ワールド】の宝の正体がだよ」

「お宝ぁ?」


 知里夫は頓狂な声を上げていた。


「そんなもの、ただの噂話に過ぎねえ、と思っていたぜ! 本当にあるのかい?」

「ある!」

 断言していた。じっと知里夫を見て、言葉を足す。


「お前はもう、お宝を受け取っているじゃないか」

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