告白
ようやくガントは怒りに叫び声を上げていた。
「全軍! 進めーっ!」
さっと腕を挙げ命令すると、その瞬間、凍り付いていた帝国軍兵士たちが「わーっ!」と喚声を上げ、走り出す。手に持っている武器が役に立たないことは、百も承知だろう。それでも遮二無二、盲滅法、無二無三に走り出す。
シャドウは「はっ!」と息を吐き、大声で叫んだ!
「貴様ら、静かにしておれ!」
手の平をぱっと上げ、叫ぶと、その瞬間、全ての兵士の動きが凍りついた! まるでストップ・モーションが掛けられたかのようだった。
「さて、これでゆっくり話ができる」
昂然と言い放つと、シャドウはエミリー皇女の腕を掴んだまま、静々と床に降り立つ。
降り立ったところに、ゲルダがさっと近寄った。ゲルダが修正ディスクを渡すと、受け取ったシャドウは勝ち誇った笑顔でディスクを弄ぶ。
シャドウが手にしたディスクは、光を浴び、きらきらと煌いた。
二郎はゲルダを睨みつけ、冷静な口調で話しかける。
「そういや、あんたは最初から、ちょっとおかしかった。【スラップ・スティック・タウン】に三兄弟を訪ねたとき、あの〝世界〟を承知していたな。それに他の〝世界〟の事情にも詳しすぎた。最初から【蒸汽帝国】のプレイヤーじゃなかったんだな!」
ゲルダは「その通り!」と軽く頷いた。
表情には、二郎を軽蔑するかのような笑顔が浮かんでいる。
「他の〝世界〟にいた頃に【ロスト・ワールド】に連れて来られたの。その時、シャドウ様にお目にかかり、忠誠心を植え込まれたんだわ。あの時まで、わたしは自分の存在意義を知らなかった! シャドウ様が初めて、あたしの本当の正体を教えてくれたの!」
告白するゲルダ少佐の顔は晴々として、熱狂が瞳に浮かんでいた。