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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
【ロスト・ワールド】の秘密
169/198

ゲルダ

 修正ディスクをはっしと受け止め、二郎はティンカーに命令する。


「ティンカー、デバッグ開始!」


 二郎はティンカーに向け、ディスクを投げた。

 ティンカーは身体にスリットを作り、ディスクを受け入れる用意を整える。


 ディスクが空中を飛んで、ティンカーが飲み込もうとした瞬間、ゲルダの手が素早く伸びて、受け止めていた。


「ゲルダ少佐! 何をするつもりだ?」

 二郎は驚きに大声で叫んでいた。あまりに意外な、ゲルダの動きであった。


 ゲルダはディスクを指で挟んで、二郎に顔を向ける。その顔がニヤリと笑いに歪んだ。さっと上を見上げ、シャドウに声を掛ける。


「シャドウ様! ディスクは、わたしが!」


 叫びながら、腕を上げて掲げる。シャドウはゲルダに顔を向け、深く頷いた。

「でかした! ゲルダ少佐!」


 一同は驚愕して、言葉も出ない。


「ゲルダ……さん? ……あなた、その……まさか!」


 ようやく、途切れ途切れに、タバサが言葉を口にする。


 ゲルダはディスクを掴んだまま、ささっと一同から離れる。両目が爛々と輝き、頬は興奮に火照っていた。


「そう……わたしの忠誠心は、シャドウ様ただ一人に捧げられている! この瞬間を待っていたのよ! このために、客家二郎の遠征隊に参加したのよ!」

 階段で、目を見開き、凝固していたターク首相が我に帰り、叫んでいた。


「裏切り者!」


 ゲルダはくるっとタークに振り向き、高らかに宣言した。


「裏切り者ではない! わたしは、最初からシャドウ様の忠実な部下だ!」


 ゲルダの言葉に、タークとガントは間抜け面で、ぱくぱくと金魚のように口を動かしているだけだ。ガントは顔を真っ赤に染め、タークは唇を細かく震わせている。

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