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修正ディスク
気持ち良さげに、シャドウは大声で宣言した。
「それでは【蒸汽帝国】の間抜けどもの顔を拝むとするか……!」
さっと渦巻きを指さした。その途端、渦巻きは消滅し、あれほど吹き荒れた風も、ぴたりと止んだ。階段には【蒸汽帝国】の軍隊が出現していた。
先頭にはガント元帥の乗り込む司令無蓋車。その隣にはターク首相の姿があった。
呆然と、ガントとタークは目の前の光景に虚ろな表情を浮かべている。
が、二郎は嬉しげに叫んでいた。
「ターク首相! 修正ディスクは持っているか?」
呼びかけられた首相は、二郎を認め、激しく頷く。
驚きの表情が、シャドウに浮かぶ。
「修正ディスクだと?」
二郎は腕を挙げ、叫んだ。
「寄越せ!」
首相はポケットに手を入れ、ディスクを取り出した。腕を思い切り後ろに伸ばし、全身の力を込めて二郎へと投げる。
ひゅーっ、と修正ディスクがきらきらと輝きながら、空中を飛んでいく。
ぱっと二郎はディスクを受け止めていた!