プログラム
「そうか……そうだよ! それしか考えられない!」
さっと一同を振り向き、満面の笑みになる。
「見つけたぞ! 遂に【パンドラ】のプログラム本体を見つけた!」
玄之丞が期待を込めて、口を開いた。
「どこにあるのかね?」
「ここだ!」
二郎は床を指差した。
「このシャドウの居城の全体が、即ち【パンドラ】のプログラムなんだ! おれたちは、プログラムの中にいる!」
二郎はポケットに手をやり、叫んだ。
「ティンカー! 出て来い!」
ぴょい、と金属球が空中に飛び出す。
二郎は腕組みをして、ティンカーを見つめた。
「ティンカー! このシャドウの居城がプログラムの本体とすれば、バグの場所は、どこにあるか判るか?」
二郎の問い掛けに、ティンカーは球体から立方体に体型を変化させた。立方体の表面に、目まぐるしく様々な図表や、数値が浮き出て輝いた。
ティンカーから光が空中に投げかけられ、立体映像で格子模様の映像が投影された。
シャドウの居城の映像であった。
シャドウの居城は、色々な大きさの立方体のブロックが組み合わされた内部構造が顕わになっている。外からはただの平面に見えた壁は、実は立方体の集合で、隙間に窓ができているらしかった。
ティンカーは居城の地下部分を拡大させた。そこには、大きな空間が広がっている。
「この部分です! 地下にある、ここにバグが存在すると思われます!」
二郎の目が輝いた。ぱしん、と拳を手に平に打ち合わせると、叫んだ。
「よし! すぐ、その場所へ急ぐぞ! 皆、ティンカーの後に続け!」
玄之丞は芝居気たっぷりに「マグダフ、案内せよ!」とティンカーに話し掛ける。
タバサは首を捻って玄之丞に尋ねた。
「なあに、それ?」
玄之丞はぐい、と眉を上げた。
「シェイクスピアだよ、知らんのか?」
タバサの顔色を見て、玄之丞はがっかりした表情になった。
「やれやれ、すべったか……」