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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
【蒸汽帝国】軍侵攻!
162/198

出口無し!

「何いっ!」


 ガントは二つの目玉をぎょろりと飛び出さんばかりに見開き、タークの言葉を確かめようと、忙しく前後を確認する。


「王宮は……シティは、どこに消えた? ここは、どこなのだ?」


 怒鳴り散らすガントに向かって、一人の兵士が泡を食って近寄ってくる。


「閣下! 我々の武器が突然、機能しなくなりました!」


 敬礼もそこそこに、前置き抜きに報告する。

 兵士の報告に、ガントは立ち尽くした。


 ぱくぱくと口だけが忙しく蒸汽ピストンのように開閉するが、唇からは何も言葉は発せられない。

 恐らく、ガントは思いつくありとあらゆる悪態をついているのだろうが、禁止語なので声にならない。

 猛牛のような唸り声を上げて、ガントは目の前の兵士の武器を取り上げた。素早く棹桿を引き、銃弾を送り込む。引き金を引き絞る。


 がちっ! と撃鉄が食い込む音がしたが、何も起きない。


 あれ程の喧騒が、今は欠片も聞こえていない。兵士たちは青ざめた顔を見合わせ、呆然と立ち尽くしていた。運転手が顔を上げた。


「閣下! この車も動かなくなりました!」


「まさかっ? 燃料はあるのか?」

 ガントの問い掛けに、兵士は激しく首を振る。

「いいえ、燃料ではありません。肝心の、蒸汽ボイラーの火が消えてしまったのです! 理由は判りません。突然、総ての蒸汽動力がゼロになってしまいました!」


 ガントとタークは目を見合わせた。

 タークの凝視に、ガントは目を逸らす。


 タークは声を震えるのを必死に押さえ、ガントに語りかけた。


「あれ程はっきり言ったではないか! 客家二郎は【ロスト・ワールド】の〝門〟は、罠の可能性が高いと! これは、罠だ!」

 ガントは、もごもごと口の中で答える。

「では、ここは、どこなのだ? 我々は、どこにいるのだ?」


 タークは目を細める。


「決まっているではないか。判らんのか?」

 ガントはぐい、とタークに顔を近づける。

「貴様には判っているとでも?」


「ああ、判っているさ」

 タークは深く頷いた。


「我々は【ロスト・ワールド】に引き込まれたのだ。ここは【ロスト・ワールド】だよ」

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