表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
シャドウとの対決
153/198

「大丈夫かしら、あのギャンって人?」

 二郎がタバサに並んで見物しながら、口を開いた。

「あいつなら、心配ないさ。シャドウが暴れこんだ時に、真っ先に逃げ帰っている。それより、そろそろシャドウの奴、こっちへ注意を向ける頃だ」


 タバサは二郎を睨んだ。


「あんた、シャドウのことなら何でも知っているのね!」

 二郎は顔を背けた。

「まあな。何しろ、あいつは、おれの分身だから。どっちにしろ、おれたちが易々と忍び込めたのも、奴がわざと誘い込んだと言える」


 二郎の言葉に、ゲルダは一歩、憤然と前へ進み出た。


「わざと? それでは、罠ですか?」


「そうさ。おれが【ロスト・ワールド】に潜入したことは、奴もとうに気付いているはずだ。おれが何を狙っているかも承知の上で、ギャンの騒ぎに乗って見せたんだ。お互い、狸と狐の化かし合いってこと! どっちが狸か、狐か……どっちが相手をうまく騙せるか……これは、そんな勝負なんだ」


 淡々と語る二郎の言葉に、タバサはくらくらと目が回る思いだった。タバサ以外の、全員は二郎の説明に、平然と頷いている。


 ぴょん、と二郎のポケットからティンカーが飛び出した。金属球の表面に漣が波立ち、御馴染みのきんきん声で話し掛ける。

「二郎さま! 下の階から【蒸汽帝国】に出現した〝門〟と同じ空間特性を感知!」

 二郎は鋭くティンカーに向き直る。

「あの〝門〟があるのか?」

 ティンカーはぶんぶんと二郎の周りを飛び回った。興奮しているのか?

「そうです! 恐らく【蒸汽帝国】に直結していると思われます! あっ!」


 ティンカーの形が変化し、無数の棘が飛び出したハリセンボンのような形状になる。


「大量の質量の移動を感知! もしかしたら【蒸汽帝国】から侵入があるのかも!」

「何いっ!」と二郎は大声を上げた。


 さっとゲルダを見つめ、叫ぶ。


「危惧していたことが現実になった! 奴ら、辛抱できず、向こうからこっちへ来る!」


 ゲルダは蒼白になり、拳を握りしめる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ