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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
シャドウとの対決
151/198

梯子

 二郎は聳え立つ灰色の壁面を見上げる。


 のっぺりとして、何の装飾も施されていない壁面には、手がかり一つ見当たらない。侵入者を頑と拒んでいるようだった。


「どうやって潜入するの? また、ティンカーに入口を作らせるの?」


 タバサが質問すると、二郎は短く首を振って答える。


「いや! あれは、ここでは使えない。シャドウは〝パンドラ〟の初期バージョンを保持しているから、プログラムの書き換えは瞬時にバレる」


 二郎は壁面を見上げた。

 壁にはところどころに窓があるが、壁面のかなり上のほうにあるため、手が届かない。壁には手がかり一つないため、登攀もできない。


 またティンカーの発条ばね仕掛けで飛び上がるつもりだろうか。あれは苦手だ。


 タバサがそんなことを考えていると、やっぱり二郎はティンカーをポケットから飛び出させた。ティンカーはくるくると発条の形になって、待ち構えている。


 と、晴彦が窓を見上げ、コートの前を開いた。


 なにをするのだろう……と、タバサが見守っていると、晴彦はコートからするすると梯子を引き出す。


 梯子は晴彦のコートからずんずん伸び、遂には十メートルほどになって、窓に達した。


「まあ、このほうが、少しは文明的ではあるな」


 玄之丞は快活に宣言すると、素早く梯子に手を掛けた。するとゲルダが玄之丞を制し、首を振った。


「ここは、あたしが先に上るわ!」


 真剣な表情になって梯子を登り始める。

 程なく梯子の先端に達すると、窓に手を掛け、用心深く内部を覗き込んだ。手にはナイフを構えている。下を見て、頷いて見せた。


「大丈夫、誰もいない!」


 小声で叫ぶ。二郎は肩を竦め、ティンカーを納める。


「まあ、こっちのほうが、安全かもな」


 率先して梯子を上り始めた。玄之丞、知里夫と続いて登っていく。晴彦は梯子を支え、タバサの顔を見て合図した。

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