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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
シャドウとの対決
145/198

武器

 ──四時間前──。


 頭の中で声がする。

 声は残り六時間を切ったところで「かっち、かっち、かっち」という時計の音に変わって聞こえ始めた。今は三十分置きに宣告しているが、二郎の話では三時間を切ると十分、一時間で五分と段々、間を刻んで聞こえて来るそうだ。

 いかにも急き立てられているようで、タバサはじっとしていられなくなる。


〝ロスト・シティ〟で出会ったギャンという人物は、二郎がシャドウの居城に忍び込むための準備に忙殺され、姿が見えない。

 二郎たちはギャンのレストランの貸切部屋に籠もり、ギャンが引き起こすであろう騒ぎに乗じて飛び出すべく、待ち構えている。


 ゲルダは町の露店で買い求めた武器をテーブルに並べ、点検に余念がない。買い求めたのは大振りの刀とか、香港映画でよく見るヌンチャクなどの武器である。何でも、拳銃のような複雑な機構の武器は、【ロスト・ワールド】ではあまり使用されていないそうだ。


 というより、まともに使用できるような銃器が存在しないのだ。拳銃や機関銃を製造するには、ちゃんとした工場設備が必要だが、【ロスト・ワールド】では恒久的な変化しない土地というのは存在せず、従って設備も作れない。


【ロスト・ワールド】で不変な地域は例外的に、シャドウが居住する〝ロスト・シティ〟の周りのみである。だから僅かな住民はシャドウの居城近くに家を構え、町を作ってきた。


 今まで何度か銃器を製作する工房が設置されたことがあったが、シャドウはそのような武器工房を嫌い、悉く邪魔してきた。シャドウは住民が町を作ることは黙認しても、それ以上の行動は許さないらしい。


 町の人間たちは自分たちを〝ロスト〟させた張本人がシャドウである事実は承知しており、シャドウの近くでなければ、安全に暮らせないことも判っている。


 まったく苛立たしい限りで、町の壁がシャドウに背を向けるように建てられている理由も、そんな二律背反の気持ちが現れているのかもしれない。

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