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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
再び蒸汽帝国
142/198

執務室

 伍長の報告は次々に上官に伝えられ、一時間後には、ガント元帥の許へと上がっていった。


 ガント元帥は王宮の司令部に陣取っていたが、渦巻きの拡大という報告に、きりりと怒りの表情に変わった。


 牡牛のような唸り声を上げると、巨大な顔面が真っ赤に染まった。ぐっと立ち上がり、どすどすと荒々しく、王宮の廊下を大股で駈けていく。行き先はターク首相の執務室である。


 扉を押し開けると同時に「ターク!」と破鐘われがねのように叫んでいた。


「【ロスト・ワールド】に侵攻しなくてはならん! 今すぐに、だ!」


 外を眺めていたターク首相は、ガント元帥の唐突な申し出に、驚きの表情を浮かべた。


「なにを突然に……。言ったはずだ。客家二郎の連絡がなければ、我々は動けん、と」

 ガント元帥は猛獣のように唸り声を上げる。かっかと頭に血が昇り、今にもタークを絞め殺しそうな衝動に駆られていた。


「そんな悠長なことを言ってられんぞ! 知っているか? あの渦巻き、どんどん拡大を続けているという報告が上がっておる」


 タークは渋い表情になった。

「それがどうした?」

「それがどうしたぁ……? それだけか? あの渦巻きが大きくなっておる、ということは、即ち【ロスト・ワールド】がこの【蒸汽帝国】を飲み込もうとしている証拠ではないか! このまま座視する訳にはいかん! すぐさま、こちらから打って出て、シャドウとか申す怪人を引っ捕え、エミリー皇女を救出すべきだ!」


 しかしタークは、首を激しく左右に振るだけだった。

「いかん! 我々は、待つべきだ!」

「盗賊ずれの言葉を信じろ、と言うのか?」


 ガント元帥の叫びは絶叫に近い。だん! と足踏みし、タークに詰め寄った。タークは元帥の勢いに怯え、仰け反った。


「君は、どうするつもりだ? まさか、わたしの命令を無視して?」

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