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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
再び蒸汽帝国
141/198

報告

 観測要員は軍に所属していない。全て一般人で構成されている。

 だから渦巻きの拡大、という重要な事態にも、悠長にデータを採取することを優先するのだ。


 少尉は、それまで座っていた椅子から、猛然と立ち上がった。


「渦巻きの拡大の意味は、判りきっている! 【ロスト・ワールド】が、わが【蒸汽帝国】を本格的に侵略する前兆以外には、考えられまい! 伍長!」


 きっと伍長に向き直った。

「おれは、これから上官に今のことを伝達しに行く。お前は引き続き、監視の任に当たれ! 休憩は、無しだ」


 伍長は、さっと敬礼をした。少尉はちょっと考え、質問する。


「ところで、お前の残り時間は?」


 勿論、強制切断が起きるまでの時間を聞いているのである。伍長は少尉に、にっこりと笑顔を見せた。


「ご安心下さい! この任務に就く前に、たっぷりと休息を取っております」


 わざと「現実世界で」という言葉を省略している。仮想現実で暮らすプレイヤーは、建前上は現実世界と仮想現実を切り離して行動することが習慣になっているからだ。「現実世界」「強制切断」という言葉は、禁句に近い。


 少尉は足早に天幕を離れ、王宮へと急いだ。


 伍長は再び持ち場に戻った。

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