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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
【ロスト・シティ】
132/198

【八〇一】

 ギャンは肩を竦めた。


「まあまあ、協力しないとは言っていない。わたくしも心ならず〝ロスト〟した身。現実世界には未練はないが、是非とも、本来の〝世界〟に返り咲きたいものですからね」


「本来の〝世界〟って?」

 タバサが思わず尋ねると、ギャンは不思議な笑みを浮かべて見つめ返した。


「本来わたくしの所属すべき〝世界〟は【八〇一】です。わたくしは、あそこで夢のような日々を送っていたのです。それが【ロスト・ワールド】の罠に掛かり、こんな有様に……」


 タバサの隣でゲルダが「ぷっ」と吹き出した。ゲルダの笑いに、ギャンは明らかに気分を害したようだった。


「何が可笑しいのです!」


「いや……」

 ゲルダは呟き、首を振った。面白そうな目付きになって問いかける。


「あんたが腐女子だったとはね! 成る程、戻りたいはずですねえ」


 口調には馬鹿にした響きがあった。


「【八〇一】って、まさか『やおい』のこと?」

 タバサが口を出す。ギャンの片頬に薄く、血が昇る。


「なーるほど」とタバサは口の中で呟き、一人うんうんと納得して頷いた。十頭身の有り得ないほどのスタイル、背中で咲き誇る薔薇。何から何まで絵に描いたような、少女漫画のキャラクターである。


 その時、拳銃を捻くっていた晴彦が天井に向け、引き金を引く。


 だあーんっ!


 物凄い轟音とともに、銃身からオレンジ色の火花が散る。金臭い火薬の匂いに、天井からばらばらと破片が落ちてくる。

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