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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
【ロスト・シティ】
131/198

子供騙し

 店内にさっと緊張が漲った。

 テーブルに着いていた他の客は、そろそろと、音を立てぬよう椅子から立ち上がり、そそくさと店を後に出て行った。


 残されたのは、二郎以下の一行六名、および店の主人であるギャンだけである。

 ギャンは、ぴくりとも腕を動かさず、銃口を真っ直ぐ二郎の胸に狙いをつけている。


 かちかちかち……。


 タバサの耳に、強制切断を警告する音だけが響いている。秒針の音は、タバサを急き立てるかのように、時を刻んでいた。


 かちり……!


 遂に、ギャンの指が引き金を絞っていた。

 タバサは思わず目を閉じた。


「ばん!」ギャンの唇から声が漏れた。


 タバサは目を開けた。

 ぴょこり、とギャンの握っていた銃口から、色とりどりの万国旗が飛び出していた。二郎は呆気に取られた表情になっている。


「くっ……くくくくう……」


 身を震わせ、ギャンは込み上げる笑いを必死になって抑えている。が、遂に堪えきれず「あっはっはっはっはっ!」と、爆笑していた。


「はーっ!」と、二郎の口から安堵の吐息が漏れていた。溜息をついたのは、タバサも同じである。今の今まで、息を止めていた。

 どーっと疲れが圧し掛かる。


「脅かしやがる……」


 二郎の顔は怒りのため、真っ赤に染まっていた。ぐっと両手をテーブルに着き、立ち上がった。


「ギャン! 悪ふざけも大概にしやがれ!」

「くっくっくっ!」と笑いを堪えながら、ギャンは玩具の拳銃をテーブルに置いた。


 晴彦は興味津々になって、拳銃を見つめている。そっと手を伸ばし、ギャンの顔色を窺うと、銃把を掴んだ。拳銃を目の前にし、晴彦の顔が輝く。


 ギャンは、そんな晴彦に一瞥もせず、二郎に向け口を開いた。


「客家二郎ともあろう者が、こんな子供騙しに引っ掛かるとはね……。シャドウとの対決も、危ない危ない。本当に、対決するんですか?」


 二郎は喚いた。


「当たり前だ! ギャン、お前おれに協力するのか、それとも邪魔するのか? さっさと返答しやがれ!」

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