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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
仮想現実への案内
13/198

電脳盗賊

 と、突如そこで〝門〟が開くと、中から見慣れない若い男が飛び出してくる。


 柔らかな革のベストに、ぴっちりとしたパンツを穿き、足下は膝まで達する黒革のブーツで固めている。ブーツや、腰のベルトには何本も切れ味の鋭そうな短剣を装備し、胸からは様々な形の鍵がちゃらちゃらと音を立てている。


 男は小粋な帽子を被り、帽子の縁には【盗賊ギルド】の紋章が飾られている。どうやらこの男は、電脳盗賊の一人らしい。帽子の下の面長の顔は、どことなく狼を思わせる。やや前屈みの姿勢で、油断無さそうな目の光が、こちらを窺っている。


 男は、あなたに気付き、にやりと皮肉な笑みを浮かべるだろう。じろじろと不躾に、あなたの全身を観察し、口を開く。


「初心者かね? ちょうど良い。この先の〝世界〟は、プレ・インカのティティオ・ワカンの月の大ピラミッドがある。お望みなら、おれが案内してもいいぜ。どうする?」


 あまりに早口に捲し立てられ、あなたは戸惑っているようだ。あなたの戸惑いを見て取り、男は肩を竦めた。


 あなたは、くるりと背を向け、もう一度、案内柱に向かう。もう少し、穏やかな、安心できそうな〝世界〟を探すつもりか?


 それがいい。


 ここは仮想現実。初心者にも、ベテランにも、どんな相手にも満足できる、あらゆる〝世界〟が広がっているのだ。

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