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街路
タバサは二郎の忠告を守り、真っ直ぐ前を見たまま歩いた。
二郎は先頭に立ち、曲がりくねった街路を、ずいずいと歩いていく。
タバサは並んで歩くと、二郎に質問する。
「ねえ、どこへ連れて行くつもり?」
「町のボスに会う。シャドウの本拠に乗り込む前に、話をつけておかないとな」
「ボス? どういう相手?」
「だから、ボスだよ。言ってみれば、ギャングの親玉だ。なにしろ〝ロスト・シティ〟はこんな場所だ。力で捻じ伏せなければ、好き放題にされるのが落ちだ。それが厭なら、隠れるか、それとも、これから会うギャンのように、実力を蓄えるしかない」
「ギャン?」
「これから会う相手の名前だ」
二郎はタバサを見て、眉を上げ、指を一本ひょいっと立てて見せた。
「いいか! 君は何を聞かれても、黙ってろ! 徹頭徹尾、知らぬ存ぜぬを通すんだ! でないと、何をされても文句を言えなくなるぞ!」
タバサは唇を真っ直ぐ引き締め、無言で頷いた。