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到着
気球は満腹したのか、高度を落とし、緑色の雲から脱け出た。
再び、地上の景色が目の前に広がる。
タバサは慣れてきたのか、地上を見下ろしても、もう、吐き気は覚えなかった。
ふと、ケストの言葉を思い出す。怒りを込めて詰問する。
「あんた、緑色の雲はプランクトンの固まりって言っていなかった?」
大変だ! あの中で自分はたっぷり、呼吸していた!
しかしケストは、にこやかに笑うと、首を振った。
「大丈夫ですよ。第一、ここは仮想現実です。プレイヤーには一切、影響が出る訳ないでしょう?」
ケストの返答に、タバサは「あっ」と声を上げていた。
そうだった! ここは、仮想現実。あまりに真に迫っているため、すぐ念頭から消えてしまうが、実際の身体には影響が全然ないんだった!
二郎や、ゲルダ、三兄弟はとっくに承知しているのか、タバサの慌てぶりをにやにやしながら見守っている。タバサは、またしても顔が火照ってくるのを感じていた。
「あれがシャドウの本拠、〝ロスト・シティ〟です!」
ケストが叫び、前方を指で差し示す。