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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
輪廻転生
120/198

熱気球

「ねえ、あのケストって人、男なの? それとも、女?」


 ケストが見えなくなると、タバサはかねての疑問を二郎にぶつけてみる。

 二郎はゆっくりと首を振った。


「どちらでもない。ケストが〝ロスト〟する前、男だったか女だったか知らないが、蝶人になった時点で、そんな区別は消滅している。おそらく、ケスト自身も覚えていないんじゃないのかな」

「あの芋虫がケストだったなんて、信じられないわ!」

 二郎は、にやっと笑った。

「まあな。【ロスト・ワールド】じゃ、〝ロスト〟したプレイヤーは、ここの生き物に狙われることがしょっちゅうだ。ここの総ての生き物たちは、我々、人間のプレイヤーを渇望していると言ってもいい」


 タバサは首を傾げる。


「どうして?」

「ここだよ」と二郎は自分の額を指さした。

「おれたち人間のプレイヤーには、他の生き物にはない知性ってやつがある。憶えているだろう? 最初に出会った、馬と同化したプレイヤーを」

 タバサは、こくん、と頷く。


「あのカウボーイなんざ、どう見ても知性的とは言い難い。それでも、ここの生き物にとっちゃ、神の如き知性の持ち主なんだ。多分、あいつは、二本足の馬たちのリーダーになるかもしれない」


 ばさばさ……と羽音がして、ケストが戻ってくる。手に一本のロープを握っていた。ロープの先には、最初に見た熱気球が繋がっている。熱気球の籠は充分に大きく、六人が乗り込んでも余裕があった。気球部分と籠部分は一繋がりで、どこにも継ぎ目はない。材質は半透明の柔らかな素材で、触ってみると、妙につるりとしている。


 吊るされている籠は、驚くほど細い紐が数本あるだけで、これで重みを支えることができるのだろうか、とタバサは怪しんだ。

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