岩山
近づいてくるのは、二郎の言う「芋虫の巣篭もり場」である。
それは、岩山だった。といっても、普通のごつごつとした岩山ではない。四角いブロックが積み重なった山である。大小無数の正方形に近いブロックが積み重なり、岩山を形成している。どうやら【ロスト・ワールド】では、普通の浸食作用は無縁らしい。
岩山の幾つものブロックの隙間に、ぽつ、ぽつと蛹のようなものが貼り付いている。
気がつくと、岩山には今、タバサが利用しているチューブの他に、何本かのチューブが様々な方向から集中していた。他のチューブを注意して観察すると……いたいた! 芋虫が必死で、岩や目指して黙々と這い進んでいる。
岩山の天辺辺りには、奇妙なものが散見される。
風船だ!
ぷっくらと、幾つかの風船が、岩山の天辺近くに数個、浮かんでいる。風船には糸が付いていて、先端は岩山に繋がっている。風船は、微かな風にふらり、ふらーりと左右に揺れている。さらに風船の根本あたりには、籠のようなものが付属している。
タバサは目を瞠った。人間だ!
籠の中には人間が乗り組んでいる。ということは、あれは気球なのだ!