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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
仮想現実の掟
113/198

 玄之丞は声を発した。


 渇──っ!


 声、というより、何か強烈な衝撃波が、物理的な力を持って、空間を切り裂いた、といったものだった。

 震動で、タバサの皮膚がぶるぶると震え、髪の毛がばさばさと逆立った。両手で固く耳を塞いでいるのに関わらず、鼓膜を通り抜け、脳髄に直接ぐわんぐわん突き刺すような音が轟き渡った。

 タバサは気が遠くなり、目が霞む。


 恐る恐る、タバサは目を開く。


 ふっ、と玄之丞は芝居っ気たっぷりに、額の汗を拭う仕草をする。


 さっきまで接近していた数個のプロペラ生物が、ふらふらと頼りない、まるで気絶したかのように目標を見失って、さ迷っている。

 ぽとり、と一匹が地面に落ちていく。ついで、ぽと、ぽとりと残りのプロペラ生物も後を追う。ぱたん、と地面に平べったくなり、そのまま動かず止まっている。


 芋虫はずんずん進んでいるから、あっという間に後方に遠ざかり、見えなくなった。


 すぱーっ! と、得意そうに玄之丞は葉巻を吹かす。

「どうかな? 危機は脱したかな?」

 二郎は小さく頷いた。

「ああ、助かった。しかし、相変わらず、あんたの声は凄いな……」


「まあ、な!」


 おほん、と咳払いをして、玄之丞はそっくり返った。

 タバサは二郎に囁いた。


「これで、あの人たちを連れてきたの?」

 二郎は素早くウインクをする。

「そうさ。あの連中、見かけはああだが、各々特技があってね……。まあ、残りの特技も追々、披露してくれると思うよ」


 進行方向に顔を向け、笑顔になった。


「さてさて、次は芋虫の巣篭もり場所が近づいた! 終着駅は、すぐそこでござーい!」

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