表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
仮想現実への案内
11/198

【大中央駅】

 もし、あなたが仮想現実空間に最初に立ち寄るなら、まずは【大中央駅グランド・セントラル・ステーション】を目指すべきだ。


 ここは文字通り、総ての〝世界〟へ通じる【大中央駅】である。


 仮想現実装置に接続され、意識がリンクされると最初に表れるメニューに、この場所が表示される。


 もし、あなたが、何の目的もなくリンクするなら、最初にここに立ち寄り、あなたに向いた目的地を探し当てることをお勧めする。

 そうでなければ、あの怖ろしい【ロスト・ワールド】に漂う羽目に陥る。メニューからここを選択すると、次の瞬間あなたは【大中央駅】の真ん中に立っていることを知るだろう。


【大中央駅】には、今から目当ての場所を目指す無数の旅人が行き交っている。


 目の前を中世ヨーロッパのマスケット銃を抱えた三銃士ムスクテールたちが通りすぎる。

 あるいは、きらきらと輝く金属製のロボットを従えた宇宙人の一団が、宇宙船に乗り込むため急いでいる。

 大声で当たり憚らず、のし歩いているのは、カリブ海を荒らし回る海賊たちだ。

 あちらからは、ヨーロッパ戦線から帰還した一九四〇年代の装備に身を固めた海兵隊マリーンが、先ほどまでの戦いの結果を熱っぽく語り合っている。


【大中央駅】は巨大である。巨大というより、果てしない広さを誇る。実際、どれほどの空間を占拠しているのか、誰にも判らない。


 見上げると、薔薇石膏アラバスターでできたドームが空のようにアーチを描く。

 実際にも、天井近くには、薄っすらと雲が湧いている。


 横方向を見渡しても、どこまでも広がって、縁は見えない。


【大中央駅】中心近くには、一体の奇妙な坐像が聳えている。


 三面六臂の、怖ろしげな姿で、中央の顔はアンコール・ワットの仏像に似て、優しげな笑みを浮かべているが、左右の顔は見るからに怖ろしげな憤怒の表情を表している。六本の腕には、様々な仏具や、武器を構えている。

 坐像は【裁定者】と呼ばれていた。仮想現実世界を守る、守護神である。


【裁定者】の坐像の近くの場所には、旅人の案内のための柱が立っているのが見える。その一つに近寄ってみよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ