表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
仮想現実の掟
107/198

鉄道

「ティンカー!」と二郎が叫んだ。


 ひゅっ、と空中を飛び上がったティンカーは、全体をロープの形に変形させ、タバサの腰に巻き付いた。

 ロープの端を二郎は握りしめ、ぐいっと力の限り引っ張る。

 がくんっ、とタバサの身体は二郎に引っ張られ、チューブへ引き寄せられる。


「おっと!」


 玄之丞が腕を伸ばし、タバサの腕を掴んだ。

 どすん、とタバサの身体はチューブに落下した。

 タバサの身体は玄之丞の上に圧し掛かり、玄之丞は「ぐえっ」と奇妙な悲鳴を上げた。


「おっ、重い! 圧死する! 早く、どいてくれっ!」

「失礼ねっ! あたし、そんなに重くありませんっ!」


 それでもタバサは大急ぎで立ち上がる。

 玄之丞は「ふいーっ」と溜息をつくと、指で額の汗を拭った。

 二郎を見ると、にやにやと笑いを浮かべている。


「何よ?」

「いや、別に……」


 喧嘩腰で睨みつけると、二郎は笑いを浮かべたまま、そっぽを向く。


 チューブは中空で、筒を半分にした形をしている。巨大な雨樋の内側に、タバサたちは立っていることになる。


「これが、どこが鉄道なの?」

 ぼんやりとタバサは呟く。


 二郎はチューブの内側に蹲り、耳を表面に当てて何か、聞き耳を立てている。


「しっ」と指を口に当て、静かにするように合図する。


 にやり、と二郎の唇が会心の笑みを浮かべた。

 立ち上がり、チューブの彼方を見つめている。


「来るぞ……。列車の登場だ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ