スプリング
近づくと、チューブは見上げるような高さにある。表面は雨風に打たれ、薄汚れ、とても鉄道の線路とは思えない。
そっと表面に手を当てたタバサは「どくん! どくん!」という微かな脈動に気付いた。
「生きているみたい……」
「その通り! これは、生き物の身体の一部だ」
驚いてタバサは手を離した。なんだか、やたら気持ち悪い!
タバサの表情を見て、二郎は「くくっ」と笑った。
「噛みつきはしないよ。さあ、登らないとな……」
見上げながら二郎は呟く。
ゲルダ少佐は難しい顔つきになって、一緒に見上げた。
「どうやって? 階段すら、ないのに」
「こいつが、ある!」
二郎が手を空中に浮かすと、ポケットからティンカーがぴょん、と飛び上がり、手の平にすっぽりと収まった。
「ティンカー! 頼むぞ!」
「了解!」
ティンカーの身体が変形して、発条の形に変形した。
二郎は脚を挙げ、ティンカーの上へ立つ。
ぐっと上を見上げ、叫んだ。
「行くぞ!」
びょーん! とティンカーが変身した発条は一気に跳ね上がる。二郎は先端に立ち、そのまま上空へ飛び上がった。
一瞬、ふわり、と空中で静止したと見るや、すでに二郎は、チューブの上へ飛び移っていた。チューブから身を乗り出し叫ぶ。
「さあ! 続いて来い!」