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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
仮想現実の掟
104/198

乗物

 いつまでも歩き続けることに、ほとほとタバサは、うんざりしていた。歩きながら、ぶちぶちと不平を漏らす。


「ねえ、いつになったら、シャドウのところへ行き着けるの? もう、歩き飽きたわ!」


 玄之丞も、タバサに賛意を示す。

「ふむ。吾輩もタバサの意見には、全面的に賛成するな! なんだか、当てもなく歩いているようにも思える。二郎君、シャドウの本拠地は、それほど遠くにあるのかね?」


 二郎は立ち止まった。

「我慢しろ。もうすぐ乗り物が見つかる」


 二郎の言葉に玄之丞は目を引ん剥いた。


「乗り物だぁ? 【ロスト・ワールド】に、そんなご大層な代物があるのかね?」


 二郎は玄之丞の質問には答えず、鋭い視線を辺りに配っている。

 何か探しているのか。

 二郎の瞳がきらりと煌いた。じわりと頬に笑みが浮かぶ。


「あった、あった! ここまで歩いてきた甲斐があったぜ!」


 腕を挙げ、彼方に指を一本、真っ直ぐに伸ばした。全員、二郎の指差した方向に注目した。

 二郎の指し示したのは、金属の丘に横たわる、一本のチューブのような物体だった。丘には結晶の森がごちゃごちゃと立ち並び、指摘されるまで、そんな物体があるとは、気付きもしなかった。

 チューブは、地面からほっそりとした脚で支えられ、空中に高々とどこまでも伸びている。チューブはかなり太く、直径は三メートルはある。


「なに、あれ?」

「電車だよ。線路だ」


 二郎の答えに、タバサは首を傾げる。


「からかっているの?」

「まさか! さあ、行くぞ!」


 二郎はタバサの質問に全く取り合わず、とっとと歩いていく。無視され、タバサはちょっと「むっ!」となったが、それでも僅かな期待を胸に、従った。

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