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夜のバスは薄暗い……
夜のバスは薄暗い
エンジン音は唸り声
病院みたく青白い、
生気を欠いた車内燈
バスが小刻みに震える
病んだ獣が震えている
吊り革がそろって揺れる
手首がぶらぶら揺れている
バスの窓には亡霊が
顔を張りつけ睨んでいる
窓の外では人魂が
ひっきりなしに飛んでいる
聞かせる気もないアナウンス
低くこもった暗い声
降車ランプがパッと光る
赤い目玉が光っている
夜のバスは薄暗い
外からそれを見ていると
死者を運んでいるみたい
黄緑の棺は遠ざかる
私はそれを見送っていた




