第四話 バイト先の後輩のちんちくりんへ
二宮から、あのちんちくりんと付き合っていると聞いたときは、マジで冗談かと驚いた。
二宮は、しゃべらなければ女にそこそこモテる。口を開けば「にゃーちゃん」と、あのちんちくりんの話ばかりするので、しゃべるとモテない。
最初はてっきり、女避けに使ってるんだと思っていたけれど、二宮は本気のようだった。
どこがいいのか、オレにはさっぱりわからない。
美人じゃないし、かわいくもない。何か特別なことができるとかいうわけでもない。どちらかと言えばポンコツだ。
性格はごく普通。たまに信じられないほど頑固なことを除けば。
だから、ちんちくりんとしか言いようがない。
……なにより、オレをすぐ怖がるし。
口が悪くて外見もいかついから、怖がられるのにはまあまあ慣れている。
それでも何もしてないのに、ビクッと身構えるのは失礼だろう。……あの野郎、思い出したら腹立ってきた。
そういえば、手伝ってやるって言ってるのに、頑なにオレの手を借りようとしないことがあった。
棚の上の荷物をとろうとして、手が届かなかったらしい。
何も言わずに取ってやればよかったのかもしれないけれど、あのちんちくりんに頼まれたかったのだ。
自分の力だけじゃ、どうにもならないだろ? 頼れよ。オレを認めろ。
──そんなふうに思っていたのに、あいつと来たら、わざわざ踏み台を用意して、自分で棚の上に手を伸ばしたのだった。
そんな意地はってどうするんだろうな。
コンロの上で、お湯が沸いている。ネルドリップにぐるりとお湯を注いで、コーヒーが抽出されていくのを見守る。
ぽたりと落ちる音で、ふと気付いた。
もしかしたら、お互い、認められたかったのかもしれない。
オレは自分が頼れるほどすごい男だということを、あのちんちくりんに認めさせたかった。
あいつはちんちくりんなりに、自分でできるんだということをオレに認めさせたかった……のかもしれない。
案外、似ているところがあるのだろうか。
うげぇ、と顔をしかめる。気持ち悪いことを思いついてしまった。
あんなちんちくりんと一緒にしないでくれ。オレはもっとすごい男だ。
酸味のある、香ばしいにおいにつられて、淹れたてのコーヒーを飲んだ。
「あちっ」




