表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異端の子  作者: 水園寺 蓮
義焔再団編
58/93

ご案内


 船は樹炎島に止まると、石崎と赤松を下ろした。


「ここで少し待ってな。すぐに潜水艦が来る。」


 そう言い残して、藤井は行ってしまった。だが、藤井の言った通りすぐに海から潜水艦が上がり、二人そこから出てきた。


「んじゃ、そこの二人としばらく行動しろよ。」


潜水艦の主も消え、浜には四人が集まった。


「…この面子でどうしろと?」


 三月は気まずそうに言った。実際気まずい。秋崎と石崎だって面識こそあれど、交流はないし、三月に至っては一人だけ鬼呪一天の身で、状況を一番理解してない。


「…まずは寝床確保だろ。ここ今じゃ無人島だろ。」


秋崎が冷静に言った。


「そうね、なら私達は食料でも集めてきましょ。」


石崎は赤松に目線を送った。


「…三人ともサバイバル経験は?」


三月の問いに三人は首を振った。


「…大丈夫か、これ…」




 三月が不安になっていると、近くの茂みが揺れた気がした。他の三人も反応する。

何も出てこないことで、気のせいか、と四人は安堵したが、すぐに三月の喉元に刃物が当てられた。三月だけではない。それは秋崎もだった。石崎と赤松はすぐに離れ、距離を取ったが、その正体に気づくや、目を丸くした。


 二人はそれを見て、後ろをそっと振り返った。


「ルア!ソウ!」


 三月は驚いて、しばらく口を開けていた。それもそのはず、現れたのは千殊島で行方不明になっているはずのルアとソウだったのだから。二人は刃物をしまうと、四人に微笑んだ。


「驚いたか?久々だからちょっと驚かせちまった。」


ソウはおもろ、とまだ笑い声をあげている。


「いや、ほんとにびびったわよ。」


石崎もはぁと溜息を零し、二人に目を向けた。


「で、サバイバル未経験者四名であってるか?」


ルアの確認に四人は頷いた。


「でも、二人がいるなら―」


「俺達もまだまだだよ。」


「でもまぁ、サバイバルのスペシャリストがいるから心配すんな。」


「「サバイバル初心者四名、ご案内だ。」」


ルアとソウが大きな声で言うと、風を切る音と共に、上空にもう一人現れた。


「お元気?」


ニヤッと笑うそいつへ、三つの叫びが飛ぶ。


「「レイ⁉」」


「お化け⁉」


 三月だけそう叫んでレイはムッとした。三月の前に着地して、全力で頬を引っ張ると、「お前は僕がおばけに見えるか?三月。」と恨めしそうに言った。


見えません(みへまふぇん)


レイは手を離すと、他の三人にも笑顔で挨拶をした。


「…なんで…レイはあの時…」


麗奈までもお化け扱いしてくることにレイはムッとして、麗奈にも近寄った。


「僕が何の策もなしに飛び込むわけないだろ。全部作戦通りだ。ま、そういう反応してくれるってことは皆上手く騙せたってことか。上々だ。」


「…鬼波…おまえ恐ろしいな。」


秋崎はあの時の会話での、それなりの作戦というのを心底理解した。


「話は食事でもしながらしよう。偉人様が料理を用意してくれている。」


 四人は聞きたいこともツッコみたいこともあったが、今は休みたい、そう思った。この後、色々と教えられた三人は、情報過多でそのまま眠りに就いて翌朝まで混乱したままだったとか。




********


 秋崎達の混乱もよく理解できる。一緒に行動してた俺達だって混乱だらけだったんだから。そもそも、脱走一日目にしてハードだった。


 俺達は飛び込んですぐに意識を持ってかれたわけだが、その後すぐに大きな手のようなものに回収されて、目を覚ませば、船の中だ。で、目の前には困惑したレイの顔。


「お前ら、どうして?」


俺達は揃って起き上がると、笑い合った。そりゃそうだ。レイはただ死ぬつもりじゃなく、こうしてご用意してたわけだからな。心中も覚悟はしていたが、やっぱこうなるよな。


「俺達はどうせ真壁の処刑対象だ。だったら死に方ぐらい自分で選ぶ。」


「だから飛び込んでやったんだよ、お前の後に。」


死んだとしても、こうやって何かあってもどっちでも良かった。俺達はレイと行く。ただそれだけだ。


「俺達は許さないって言っただろ。これでお互い様だ。」


ソウが言ってのければレイは確かにな、という顔で笑っていた。どのみち、ここまで来てしまえば、レイだって追い返せはしない。つまり、俺達の我儘の勝利だ。


「いいのか?」


 レイの協力者である勝井さんがまだ引き返せるぞ、レイに言ったが、レイは「ここまで来られちゃ返せない。僕だって仲間と離れたいわけじゃ…」と後半小声の言葉を零す。


「なんて?」


「なんでもねぇ!はやく、出して。」


勝井さんが大笑いし、俺達も笑った


「俺達はもう離れないって決めたから。」


ルアはレイの頭を撫で、ソウがレイの肩に手を置く。


「それに、レイは泣き虫だから誰かが面倒みないとな。」


「泣き虫ではない!それに、行った先でも暇はないぞ?」


そういえばレイがこの後どうするかなんて何も考えてなかった。


「へぇ、行先は?」


「管理人本部運営、脱獄不可能と御噂の監獄だよ」


なんでまたそんなところに、とソウが言おうとしたが理由はわかり切っていた。戦い続きでソウ達は忘れていたが、レイには絶対忘れられないことがあるではないか。


「ヘルベルク監獄に師匠を迎えに行く」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ