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異端の子  作者: 水園寺 蓮
義焔再団編
54/93

耐え忍ぶ

 レイがいなくなって真壁が島を実質上統一したことになる。今は残存敵対勢力を追いながら国として機能させるための整備を行っているようだ。平和中立連合の保護下に置かれた俺達はそれぞれ分断され、密かに見張りが付けられている。俺は三人ほどに見張られているのがわかる。


 俺の使獣のウーパールーパーからの情報で紘は真壁の手元、駒場は高坂の手元。実質この二人は真壁達のお膝元だ。田中は青鎌の部隊。他にも点在させられているのがわかっている。こちらに来てもう一つわかったのは三月の生存。重傷を負いつつも秋崎達によって存在を秘匿されつつ保護されているらしい。秋崎との連絡はまだとれていないが、上手くやっていれば見張りの隙を作れるだろう。今は全員大人しくする。それが鬼呪一天の共通使命だ。


 メンバー、極僅かな面子は日常動作で連絡を取っている。紘と俺はもちろん、駒場も。そのおかげで三月の件が知れたわけだ。


 心配なのは、双龍の二人。ルアが消えて少々ピリついている様子だ。何かやらかさないことを祈る。それと、灯骨一茶。あいつの行方も知れない。紘が拠点を閉じてしまったから、中で死んでいるのではないか、と思ったが、確認したところ中にはいないらしい。戦場に出るわけでもない人物だったからこそ、どこに行ったのかさっぱりだ。



 ルアとソウは相変わらず行方不明。それは真壁が現状追っているからこそわかる。俺達に今できることは石崎麗奈の能力が無効化されたタイミングを待つか、真壁達が本国に赴いたタイミングで国を乗っ取るくらいしかない。レイがいなくなった今、俺はそれしかできない。仲間が今酷い目に遭っていようが助けることはできない。皆をまとめて真壁に立ち向かうこともできない。


 守らせてくれと意思を貫いたレイを踏みにじれない。もしも俺が一人真壁に抗ったら、お前はどんな顔するだろう?馬鹿と言って笑うか、怒るだろうか。


 一番レイの意思をわかっているが、一番レイの選択に納得していない。一番レイに辛い顔をさせたくなかった。でも叶わなかった。俺は相棒としてあいつに他の選択をさせるだけの存在になれなかった。今更悔やんでも仕方ない。




 次にできる事、それを叶える。後悔しても意味がないなら、俺が次に進むしかないのだ。レイ、俺はお前を信じてる。どんな絶望的な現状でも、必ず覆せる。そう教えてくれたのはお前だから。お前もまだ諦めてないんだろう?


お前が残して行ったものはまだ燃え尽きちゃいないって信じてんだろ。お前は俺達に時間をくれた。俺達はそれに応える。待ってろよ。






 見張りを無視して与えられた自室に戻る。部屋の中は流石にカメラ一台あるのみ。あと盗聴器か。トイレや風呂にはないが、それ以外は完全に監視されている。


しかも平和中立連合、井月の説明によると、一定時間トイレや風呂から出てこないと連絡が行ってしまい、確認されるらしい。プライバシーはあまり保障されてない。


どうやってメンバー全員及び、こちら側の人間に連絡をとるか、そこからがスタートだ。




 これから冬が来る。その間は真壁もあまり動かない。雪に包まれるこの島は捜索にも発展にも今の時期は不利だ。この冬が鍵。その間にこちらはある程度用意して、反撃をする。


俺は乱暴に布団を敷いて今日は眠りに就いた。




********




「ネイ…」


「わかってる。」


秋崎は遊喜が言おうとした言葉を止める。

遊喜は黙って異空間のゲートを開け、中に入っていく秋崎を見送った。

中の黒い空間の一角、ベッドの上に包帯に巻かれた人がいる。かろうじて生きているものの、こままの設備では衰弱していくことがわかっている。どうにかして表に出せればいいのだが、鬼呪一天が解体され、監視下にある以上こいつを匿った俺達もただでは済まない。


 だが、こいつを二度も捨てることは俺が許せない。こいつがまた隣を許してくれたのに、今また自己保身の為に捨てるかなんて思考を一度でもした俺を許せない。でもどうやってこいつを治療に回すか…監視の目を抜けてあの駒場を呼ぶか…出血は止めた。点滴もまだ予備はある。しかし傷は治らない。



 この空間なら時間は止まるし、俺の能力でこいつ自体の時間も止めてる。そうとはいえ、いつまでも傷が塞がらないのは傷がずっと眠ったままになる。こいつを鬼呪一天の連中にこいつを返せない。

なんならあいつらと連絡を未だに取れてない。どうやって取るか、それも問題だ。


 唯一、機材の故障で津山に会えた時に三月の生存を伝えられただけ。どうにか連絡を取れればできることがあるかもしれないのに…


 あいつらはレイが消えたからって諦める連中ではない。それを俺は知っている。レイがいつ目覚めるかわからない状況でもあれだけ信じて戦ってた連中だ。今も戦っている。だから俺も諦めない。何かできることがあるはずだ。




そうだ、時間を止めるのがもっと持続できるようになれば…


不可能を可能にしたレイ。俺もあいつみたいにできるだろうか。




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