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異端の子  作者: 水園寺 蓮
鬼呪一天編
19/93

知らぬ物語

「ルア、なんで⁉」


 レイが叫んだ直後の猛攻の嵐の中、俺はどさくさに紛れて、用意していた人形とレイをすり替えた。

レイは気づかぬまま抱えられている。既に気絶していて、見れば腹部から出血がある。真壁の目に注意しながら、攻撃網を抜け、レイを森へ置いて戻った。


(傷は深かった……けど悟が行くまで死にはしない。出血も止めた。大丈夫だ。)



 本当は離れていられるほど安心できなくて、一緒に逃亡してやりたいくらいだった。けど、俺にはやることがあったから諦めた。人形は俺の協力者が操っているから、未だ動いている。殺したふりをするために、俺は鋼でその人形を包んだ。それをレイの遺体とし、真壁の前で海に投げ入れた。その後の確認も俺がやり、報告すると、真壁はそれで納得してくれ、ルアの報告へ帰って行った。これで真壁を騙すことに成功した。真壁が当時俺を信じてくれたことが、全てを円滑に進めた。


いつもは用心深い真壁が俺を信じ、俺の言葉で納得した。俺としては不思議で怖かった。でもあいつもまだ幼かったんだろう。目的を達成して安心してたんだ。




 レイは俺が助けたことなんて知らないだろうな。俺が死んだらこの先も知ることはないだろう。それでも俺は生かせたことが嬉しかった。生きててくれたことが嬉しかった。俺はまたレイの命を守れたなら、レイに憎まれてしまっても、ルアと道を違えてしまってもそれでいいと思った。生きててくれればそれでいいと思った。






 俺は目を開くことができた。


「おはよーさん。」

「生き、てる…」


俺は信じられないという顔で言って、ルアに笑われた。


「レイを呼んでくる。待ってろ。」


一人になった部屋で俺は奇跡だと思った。

俺のUNC異常細胞はかなり進行していて、管理人にもどう足掻いたって助からないと言われていた。

レイは無茶をして俺を助けたわけじゃないよな?でもほんと、どうやって…


戸惑いながらも、生きている事実を受け止め、素直に喜ぶことにした。






「絶対助けるって言ったろ?」


フフンと、レイは来て早々得意げに言った。


「このお人好しめ。」


ソウは用意していた言葉を投げた。


「借りはちゃんと返すタイプなんだ。」

「知ってる。」


ソウは起き上がると自身の体の具合を理解する。痛む所はないが、違和感がある箇所があるのだ。


「ま、お前の病状から説明するよ。」


レイは小脇に抱えたファイルを開いた。その当たり前のように行っている様がソウに幼かったレイはもういないと教えてきた。そういえば、この治療法を知っている時点でこいつ相当さらに頭良く…

そんなことを考えているソウをよそにレイは写真まで出して説明を始めた。


「悪いが、完治はさせられなかった。しばらくは薬を投与しながら生活してもらう。薬に関しては管理人のではなく、ちょっとした裏ルートから得た治験中の特効薬だが…まぁ僕が効力は保証する。」

「あーもしかしてあれか、あの人のか。」


レイは微かに頷いて笑ってた。どうやら俺は天才たちの実験に使われてるらしいが、多分間違いなく投与された薬は管理人のやつよりいいものだ。それはわかる。


「まぁ生きてるだけいいよ。」


そう言うと、レイの目が一瞬泳いだ。


「…足を失ってもか?」

「…うん。」


自分の体のことくらいわかる。右足の感覚が、ない。ソウは目をやれば、あるべきところには何もなく、布団がへこんでいるのがわかった。


「わかった。それについてはまた話すよ。」レイはファイルを閉じた。


「一先ず、この戦いは鬼呪一天の勝ちだ。君の部下のほとんどは真壁について消えた。残った連中はウチで保護している。」


何人残ったかは知らないが、レイは全員保護してくれたなら安心だ。


「ありがとう。」


残った連中は今後話を聞いてどう付き合っていくか決めよう。俺だってこれでもリーダーをやって来たんだ。それなりにケジメは着けないといけない。


「次に、君の話を聞こう。僕らは近くに居過ぎて必要な言葉が足りなかった。」

「話すのはいいけど、俺、気失う前にも恥ずいこと言ったよ?それで勘弁してくんない?」


苦笑して言ったが、レイには「しない」と、きっぱり言われてしまった。


「えー…」

「少しくらいの意地悪、許されるだろ?」レイはニヤリと笑う。

「わかったよ、わかった。」


ルアも横でニヤッと笑っている。






 俺は真壁がルアに近づいてきた時からずっと演じてた。あいつ、元々ルア目当てだったんだ。


ずっと親友になろうとでもしてたみたいで、レイを邪魔に思ってた。特に島入りしてからはそうだった。でも、ルアの方がレイにくっついてたから隙はなくて、さらに俺もそこにいるもんだからあいつはチャンスなんてなくて、まぁまぁにイラついてた。だからこそ、そのイラつきと焦りが俺に気づきを生んだ。真壁は俺が少しレイに不満を持つ者だと判断してか、俺にも狙いを定めてきた。俺はそれに上手いこと合わせて、真壁の信頼を勝ち取った。


 特に、麗奈が来てから。麗奈が来たのは多分真壁の差し金だった。あいつは麗奈が来る一ヵ月前に俺にいい奴が来ると話してた。だから俺は麗奈が来てすぐに麗奈を気に入ったと真壁にいい、その後は麗奈に寄った。レイより、麗奈寄りのようにね。そもそも、あいつのUNC能力は『魅了』だからな。俺はかかったふりをしていたんだよ。段々、真壁が怪しい動きをするようになって、それから俺はルアに反発してみたり、レイを冷たく突き放したりした。その成果か、真壁からレイの殺人計画を持ち掛けられた。当然乗ったフリをした。あの会議での決定で、レイが去ってからのルアの判断を聞いて俺はルアを軽蔑した。そして、一人でレイを助けると決めた。俺は悟と共謀して偽のレイ人形を作った。


 あいつの能力は物質を変化させるからな。細かい準備は俺が一人で済ませて、真壁を上手いこと誘導しながらあの日を迎え、レイを猛攻から逃がした。腹に怪我してたけど、レイならその程度生き抜けると思った。人形の出番が終わったら、悟がすぐに後々保護するようにもしてた。だけど、悟はレイを見つけられなかった。正確にはレイを置いた場所には血痕が残っているだけで、レイはいなかった。


生存は不確かで、俺としては本当に死んだんじゃないかって不安だった。




 そんでこっち来てから、チーム作って活動し出したって聞いた時はビビったよ。ついでに図書館生活してたってのも聞いた。流石に戦うことはないと思ったけど、レイが動き出してすぐ、レイが生きてると知った真壁が動いたから、俺もすぐ行動した。とゆうか、真壁の方から俺に話を持って来た。まずルアを殺すってね。俺はそれに関しては秒で賛成した。ルアは約束破ったって思ったから。でも、あの日レイが止めに入ってきた時はどうしようかと思った。


真壁の手前、普通に喜ぶことはできないし、邪魔されて黙ってるわけにもいかないからな。


レイが漁夫の利的なこと言ってくれて助かったよ、あの場の人間は、誰一人ルアを逃がすためだとは思ってなかった。後は、真壁と上手くつるんで先日に至る。






 話し終えたソウは、少し間を開けた。


俺はソウがこんなにレイの為に必死になってる間、ただ泣いてただけだったのが情けない。チームを選んだ最低な兄なのに、レイは今笑ってくれる。




ソウがレイを見た。


「いくらレイの為だったって言ったって散々傷つけたよ、俺は。だから許してくれとは言わない。もっとお前達と話せばよかったと後悔してる。悪かったよ…」


頭を下げて、「だから俺のことは好きにしてくれ、俺はもう満足してる。」と続けた。

多分ソウも助けられた後、レイのとこに来た俺と同じように、恨まれても仕方ないし、どんな文句も聞き入れる、そういうつもりで覚悟を決めている。

だがレイの言うことは俺があの時驚いたように、ソウの中の想像を超えた。


「……ソウもルアも恨んでねぇよ、今は。そりゃ当時は何もわからなくて憎んだ。でも、今はもう一度三人でいれたらって思う。まぁ僕は今じゃこんなにも仲間に囲まれて生きてるがな。」


レイは笑って言う。


「僕の好きなようにしていいなら、ソウ、お前も鬼呪一天に来い。」


何処までもお人好し。そんな言葉がレイには似合った。ソウはそう思ってしまう。


「泣き虫のお守りは御免だぜ?総長。」


ソウが嬉しいことを隠すようにレイに言った。


「戦闘狂に振り回されんのは御免だよ。」


レイもレイで煽ってくる。

俺達はこれでいい。



*********


 ソウの診察の後、レイは拠点の最下層にある地下牢へ赴く。クルはそれに黙って付いて行った。

三つ並ぶ地下牢の端に蠟燭の灯りだけが灯る牢がある。

レイはそこで止まり、手に持ったランプを掲げ、中にいる人物に目を向けた。


「さて、君の話を聞こうか三月。」


冷たい声が響き、三月の無気力な瞳がレイに向いた。


「どうして、君が仲間の邪魔をした?」


三月は隠す気もなさげだ。


「……どんな手を使ってでも王であるレイに生きててほしかった……」


三月は語り出した。弁明にするつもりもないらしい。




 ある日、田中の付き添いで中心街へ出向き、暇をつぶしていたところ、平和中立連合の一員だという奴に声を掛けられた。そいつは確かに知ってる奴で、何なら守冷島で一度会ったこともあって、警戒も解いてしまった。


 そいつは「レイが真壁に狙われている、このままでは殺されてしまうレイを助けたくないか?」と言った。疑いもせず、俺は飛びついたよ。レイが強いのはわかってる。それでも、確かにレイは死なないという確証が欲しかった。丁度、ソウと戦う前だったから。

心配だったと言えば、そう。いくら強いレイでも破天荒で戦闘狂だというソウが相手だから心配で仕方なかった。昔レイも言ってたしな…ソウは強い、って。レイが素直に強いのを認めた奴なんて恐ろしい以外、言いようがなくて、不安の種には俺にとっては十分だった。


 そいつ曰く、真壁がソウを殺すから、それを成功させればレイは助かる、と。だから俺はそいつの言う通り、ソウが死ぬように、真壁が銃撃するのを待った。そいつが事前に情報を流してくれた時点で、真壁の関係者だと疑うべきだったよな…でも俺は疑わなかった。だからあの日、静かに俺の隊に出た待機命令を遂行しながら待ってたんだ。そしてあの最初の銃撃で俺は俺だけが待機命令を受けていたと理解した。

銃撃の直後、津宮達が真壁の仲間の取り押さえに向かって動き出したのを見た。


 レイは俺の隊に待機命令を出していながら、他の隊には真壁たちのアクションがあった時、真壁の仲間を取り押さえるよう命じてたんだ。レイはソウを助けようとしていたんだろ。

それをわかっても、レイが死なないようにソウを真壁に殺させる必要があった。だから、俺は邪魔しようと思って、皆を狙って銃を構えた。ソウが死ねば、真壁の目的は達成されて、レイは生き延びる。ソウを狙った銃撃を止められちゃいけなかった。だからみんなを気絶させるつもりで引き金を引いた。


でも、レイは見抜いてたんだ。

それにレイとソウ…ルアもか。三人で互いを助けることを決めてた。


 だって、俺が撃った弾は戦場を見守ってた津宮に止められた。最初から俺を見張ってたんだろ。同時に、ソウがレイを庇った時、完全に自分の考えの間違いを理解して自分のレイを想った行動が、裏切りになったったことも知り、声を掛けてきた平和中立連合の奴に乗せられたことも理解した。

だから、津宮が俺を取り押さえに来た時、抵抗しなかった…流石俺の王様だよ…俺を疑ってたんだな。




黙って聞いていたレイは頷いて、ランプを俺に渡すと、一歩牢に近づいてしゃがみ込んだ。


「忠誠心も行き過ぎると末恐ろしいな…」


レイは真顔で言い、俺は三月の忠誠心という名のレイへの想いを感じる。


「どんな罰も受けるよ。俺は結果として自分で王を傷つけた。王が一番大事なのにな…」


自身を嘲笑し、三月は俯いた。

レイは黙っている。俺はレイが何か考え込んでいるのを悟った。同時に、葛藤していることも。


 裏切りは許さないというレイは今回の三月を裏切り者と言ったが、実際どうなのか、俺にはわからなかった。レイを守りたいがために行動し、レイの意志を裏切った三月。それをクルは裏切りと言っていいのかわからなかった。そんなことを考えていた俺に三月の目が向いた。


「津宮、初めはお前のこと頼りねぇ、こんな奴が王を守れんのかとか思ってたけど、俺はこんなんで…お前は一番の王の騎士だ。」


負けたよ、という三月を見て、俺は一気に三月との訓練の日々が思い出された。




俺もレイに目を向ける。

レイがその後もしばらく何か考え、三分ほど沈黙が流れた後、「三月、お前に声を掛けてきた奴の名前は?」と言った。


「え…あー名前はわかんないけど、井月じゃない方の代表だったよ」


レイはやっぱ高田か、と呟いて立ち上がった。


「三月、お前の処分に関してはソウに決めさせる」

「え…レイ…?」


三月はレイをまじまじと見た。

鬼呪一天に入る前、裏切りは殺すということを言われていた三月は当然殺されると思っていたらしい。なんなら俺も、ここから追放くらいしてしまうんじゃないかと考えていた。


そんな二人の考えをレイは微塵も知らないで「田中や駒場はお前を責めなかった。それどころか、お前のことを擁護したよ。」と続けた。


三月は驚いた顔をしている。これには俺も驚いた。


「だから、僕が判断を下すのは適切じゃないと思った。君は僕を守ろうとした、僕を守ってメンバーを裏切った。なのに、そのメンバーがお前を擁護したんだ。」


直談判きたぞ、とレイは苦笑して付け足した。

三月は涙をこぼす。嗚咽を漏らす三月を前にレイは言葉を続ける。


「だから、間接的にといえど、殺されかけたソウに君の処遇は委ねる。」


俺ははぁっと安堵の笑みとともに半分呆れた溜息を零した。三月の行動は100%裏切りに入らないわけではないが、レイは三月の忠誠心の強さを理解していた。だからこその甘い判断なのだろう。


「それに昔言ったろ?僕を選べば後悔するって。残念ながら、僕は君が思うほどお優しい総長じゃないんだ。こういう人間なんでね。」レイは立ち上がってニヤッと笑う。


「僕は死なない。お前の忠誠心は知ってるが、僕を信じ切れなかった。信じるべきものを間違えるな。」


三月は嬉しそうに笑って一足先に帰って行くレイの背を見送った。


「俺が選んだ王はこういう人だったな。」涙で掠れた声が響く。


いつの間に開けたのか、三月の牢の鍵は開いていて、扉がほんの少し開いていた。


「…お互い馬鹿だな。ああいう奴に惚れちまうなんて。」


俺は既に階段を上がったレイの方を見て笑った。


「それな。でも、俺はこれでいいんだ。あの人はあの人だ。」


三月は目に光を取り戻し微笑んだ。





 ―ソウとの戦いの前、あの会議で作戦を言わなかったレイは会議から数時間後、三月以外を集め直して作戦を伝えていた。理由はわからないが、皆には三月には別任務があると言って田中や駒場を納得させたのだ。しかし、その小会議の後に俺とルアだけが残されて、レイは更なる作戦を告げた。


「三月が内通者の可能性がある」


可能性ながら、看過できない、とレイは俺とルアに三月を見張るよう指示を出し、いざという時には拘束するように言われた。


俺は、三月に限ってそんなことはないと言ったけど、レイは晴れた顔をしてくれなかった。


ルアが「なんで三月が内通してると?」いう、俺も気になる事項を投げつけた。


するとレイは言う。


「ルカとの一件、なんで駒場達が僕の仲間だとバレだと思う?」


確かに、何故なのか俺も考えはした。でも、潜入なんて元々バレるリスクは背負ってのことだと俺は深く考えてなかった。


「これはミネルとリトから聞いたが、僕らと戦う前、真壁がルカに会いに来ていたらしい。真壁が裏にいたんだよ」


「それと三月が繋がるとこはないだろ?」


「そう思うだろ?」


レイは一枚の写真を出す。


「こいつは高田木之助。平和中立連合の代表の一人。」


その写真には、森の中で誰かと話す高田の姿。俺は同じ島出身で多少なり彼を知っているが、今はどうやら平和中立連合の代表らしい。どうしても平和中立連合の代表というと、女神と言われる井月さんを思い浮かべてしまう。


「この話してる相手は、三月だ。」


「高田は平和中立連合なんだろ?それ自体は問題ない。」


レイもそうだな、と頷くが、もう一枚の写真を出した。


「これは中心街に潜入してる天から送られてきたものだ」


そこには先程の高田と真壁がお茶をしている様子が映されている。


「もし、三月が高田に話したことが真壁からルカに伝わっていたら?」


俺とルアはそういうことか、と全て納得した―




 真相として、やはり三月は高田に話していたらしく、そこからルカへ伝わったというレイの仮説も立証された。とはいえ、高田が平和中立連合の代表であるにも関わらず、真壁に味方したというのが本当に、本当に事実なら、これは大問題になる。ルアは通報しなくていいのか、と言っていたがレイは裏取りをもう少しする、と今回は見送った。




 数日後、三月の処遇が決まった。まず、三月は半年間の掃除係の処罰を受けることになった。せめてもの罰らしく、ソウが捻りだしたものだ。とはいえ、鬼呪一天の一員であることには変わりない。


ソウは、「レイの盾は多い方がいい。」と言ってあっさり三月を生かすと言ったそうだ。


それに対し、レイは何も言わず頷いた。




**********


 真壁は計画書に向き合い再度計画を練る。


「レイ、驚いてたけど、私のことわかったと思うー?」


計画書を書く横で本の上に突っ伏してぐだける少女は上機嫌で鼻歌を歌う。


「さぁな…」


 真壁はまさか三人が繋がっていたということに未だ、納得できていない。確かにソウは二人を冷たくあしらい、レイの死後、ルアとの交流を絶った。それは真壁もよくわかってることで、ルアの親友の座を手に入れてからというもの、監視を怠った覚えはなかった。他にも疑問はある。


 ルアは確かにレイが殺したはずで、管理人の書類でも死亡が記録されていた。今やそれは書き変わり、ルアの生存は管理人も把握しているが、管理人の目をすり抜けてルアは生きていた。

そのトリックも真壁にはわからない。ありえるとしたら、レイのバックに管理人が付いている可能性…だが、それは禁止されていることで、真壁の父親が厳しく監視している管理人達には不可能だ。レイの管理人のあの男も、監視されている以上ありえない。それに№3にはより不可能な話だ。となると、レイには他の協力者が…?


 そんなことを考えている真壁を少女が不満げに見つめる。


「真壁冷たい。せっかく助けてあげたのに。」


黙々と計画と反省を進め、記録する真壁に少女はつまんない、と言って立ち上がる。


「それは感謝してる。」

「なら、よし。」


少女は振り返って満面の笑みを浮かべると、満足して外へ出ていく。


「本当に血が繋がっているのか?」


真壁は一人になった部屋で呟いた。



**********

 自然と鼻歌が出てくる。


「もうすぐかな。レイ、おねぇちゃんがちゃんと同じとこへ連れてきてあげるからね。」


少女は十字架の髪飾りに触れた。


レイと同じ十字架―

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