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ストーカー

十月十五日、月曜日朝9時にも関わらず、私は今何度目かの修羅場を迎えている。

未来は微笑んではいるが「この2年間どこに行っていた?」って顔をしていて、その隣の遠野は私に殺気を向けてくる。

オマケに山田さんが恐怖から腕に抱きついてきて、それを見た未来がまた不快感を強めて…空気が最悪だ。

「も、もう帰っていいですかぁ?」

「貴方以外の二人は良いですよ。」

「というか出ていってください。内密な話なので居られると困ります。」

未来がそういった瞬間に山田さんは脱兎のごとく出ていった。「はいぃぃ…」と弱い声をあげながら逃げていったので流石に心配になる。後で様子を見に行こう。

一方の遠藤は不愉快さを隠さずに出ていった。最後に私を睨みつけながら。

「そこに座ってくださいね。」

「はい。」

「あと敬語使わなくていいですよ。明日には会長辞めるので。」

「そうなんだ…」

一転して少しご機嫌になった未来と私は話しながら対面できる椅子に座る。

周りを見回すとこの部屋が校長室に似ていることに気づいた。未来にこの部屋に懐かしいものばかりだ。懐かしいけど変わっちゃったな。

「じゃあ早速本題に行きましょうか。」

やっぱり少し素っ気ない気がする。昔は無表情ではあったものの人並みの感情が確かにあった。今の未来は仕事中の私にそっくりだ。

可能な限り感情を表に出さない様に言われた事をこなす機械みたいだ。

「夢で誰かに助けを求められませんでしたか?」

「え!?」

なんでそれを!?ちょっと待てよ?あの人もう時間切れとか言ってたけどもしかして…

「…何分くらい話した?」

「? 10分位ですかね。最初の方は世間話を五分くらい、後は先輩が封印の解除に必要ってことですかね。」

え?あの人なんでそれ私にしなかったの?

「…どんな場所で話した?」

「ここのダンジョンと同じ場所でした。転送の仕方とかもそこで教わりました。」

動けたんかい!私の時真っ暗で何も話せず一瞬だったんだけど!?

絶対優先順位違うだろ!なんで封印の解除に必須な私がオマケみたいな扱いされなきゃいけないんだ。

「はぁ…うんそうだよ。助け求められたよ。」

溜息が出る。すっごいテキトーだし、名前言わないし、あの人助かる気あるのかな。

「ん?じゃあもう話は終わったのでダンジョンに行きましょうか。」

「待って。私まだ冒険者登録出来てないから行けないよ?」

ダンジョンに入る為にはまず冒険者にならなければならない。

冒険者になるには協会が決めた基礎訓練を受けることと、実技試験の合格が必須である。

両方とも受けてすらいない私はダンジョンに入る資格がないのだ。

「あぁ、そうでした。ちょっと待っててくださいね。」

未来は最初に座っていたデスクの中から紙とカードを取り出した。

「先輩はこのカードについてどれくらい知ってますか?」

「advカードって名前なのは知ってる。」

カードはここの事を調べる時にちょっとだけ見た。合格したら配られるということ以外は何も知らない。

「やっぱりですか…簡単に言うと免許兼タイムカードです。誰が何時間どこのダンジョンにいるのかが分かります。」

「冒険者は行き帰りにこのカードの提出が義務になってますので、ちゃんと持ち歩くのと受付の人に渡すのを忘れないでください。」

「はい。」

受付に渡せばいいらしい。相変わらず未来は説明が上手い。

「はい、どうぞ。色によって階級分けされてますけどそれは今度話しますね。」

近づいてきた未来に紙とカードを渡される。

2週間足らずで作られたもののはずだが、重量感と高級感がある。少しVIPな感じがしてテンションが上がる。

「じゃあ今度こそ行きましょうか。紙の方はそこら辺に置いといてもらって構いません。」

「あぁ、うん。」

何か忘れている気がするが思い出せない。

カードカッコイイしなんでもいいや。

テーブルに渡された紙を置いて、未来の背を追って部屋を出る。

「未来さん、僕も連れていってください。」

「うっわ」

扉の後ろ、わざわざ私が出るのを待ってから遠野が話しかけてきた。間違いない、面倒事の始まりだ。

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