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冒険者になろう

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あれから二週間、私は朝早くからニッポンドームに来ている。

今日はダンジョンが一般解放されるらしい。特になんの準備もしていないが下見程度なら余裕だろう。

家から歩いて5分、寄り道せずについたニッポンドームの前は閑散としていた。

「もう帰りたい…」

メインゲート前まで近づいて、ガラス張りで丸見えの内側を覗く。

用意されている椅子に座っている人、立って準備運動をしている人、どれも男性だ。

「はぁ…」と大きめの溜息が出る。目立つのが嫌いな私にとっては同族が居ないことは苦痛でしかない。

疎外感を感じながら中に入ると案の定視線が私に集まる。

今日は下見だけしてすぐ帰ろう。

何とか視線を意識しないようにしながら受付の女性に話しかける。

「あの、すみません。冒険者登録お願いします。」

保険証を出しても反応がない。

顔を上げると、受付の女性はふるふると俯きながら震えていた。

「え?大丈夫ですか?」

心配をしながら顔を覗き込もうと体勢を下げると、保険証を出していた手を両手で握られる。

「うわっ!?ってか力強っ!」

急な動きに身を引いてしまうが、凄い力で掴まれて離せない。

「あ!…あの……す…すみません!怖い人ばっかりで…気が動転してて…優しそうな女の人来て…つい…」

謝ってはいるが手を離す気がないところに少しがめつさを感じる。

「え…えと…こちらで…えと!」

「一旦落ち着こうか。」

「はい!ごめんなさい!ごめんなさいぃ!」

「うっ…大丈夫だからね?」

声がさらに大きくなる。

胸に付けられた名刺に書かれた名前は山田。

まぁこの状況ならこうなっても無理ないだろうな…可哀想に。

周りを見てもお世辞にも愛想が良さそうな人は居ない。しかもみんな怖い顔してる。受付が1人だけなのが余計に辛そうだ。

「あー。山田くん、その人は私が対応するから休憩してきな?」

山田さんをどうにか落ち着かせようと考えていると、どこかで聞いたことがある声が私を助けてくれた。

休憩を言い渡されたのに山田さんは私の手を離してくれない。

「えーっと君は確か…あー松井修二さん?だっけ?」

「遠野練だ。」

少し身長の高い若い男性がこちらに歩いてくる。1年前の記憶が正しければ遠野は確か警察だったはずだ。こんな所で受付の真似事をしている人間では無いはずだ。というかこんなになるまで山田さん放っとくなよ。

「早速で悪いが着いてきてくれ。お前を待っている人がいる。」

「警察の人?」

「いや、違う。あの人はお前の知り合いと言っていたがな。」

そのまま関係者用の部屋に案内される。

部屋はここから反対側にあるらしい。何故か山田さんも着いてきているが…スタッフ休憩室はさっき通り過ぎたけど大丈夫なのかな?

「ここだ。不服だがあの人はお前を気に入っている。」

メインゲートから丁度半周のところで止まると、遠野は本当に不服そうに話す。

「え?」

もしかして結構偉い人?少なくともここの管理を任される程の人間と私は面識がない。

あとなんで私嫌われてるんだ?流石に警察と敵対したことはないはずだ。嫌われる理由が分からない。

「失礼します。」

そう言うと遠野は少し大きめの扉を開けて入っていった。せめて名前教えてから入ってくれよ。怖いだろ。

続いて山田さんと手を繋ぎながら入る。

「失礼しま…え!?」

「お久しぶりですね、先輩。」

中にいたのは高校の後輩だった。艶のある金髪と抜群に良い容姿は以前と変わっていなかった。

遠野が敬語を使っている以上、会うことの無い2年の近くで大出世したのだろうか。

「この方が日本の冒険者協会の会長をしている。」

「星空未来です。よろくしお願いします。」

絶句する私に、未来は穏やかに微笑んだ。

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