夢と異変
初投稿です。(出来るなら)誤字脱字、ここ日本語おかしくねって所があったら指摘していただけると助かります。
「エマ様、おはようございます。」
ゆっくりと意識だけが覚める。体は動かず、真っ暗な空間の中で声だけが聞こえる。
「ここは貴方の夢の中、少しお邪魔させてもらいます。」
声は若い女性だが気配が大きい。1LDKの私の部屋なら余裕で埋め尽くせるだろう。恐らく人じゃない。
それとなんて呼べばいいか分からないから名前が知りたい。
「時間もないので本題に行きましょうか。」
「私を助けてくれませんか?私は今、貴方の家から一番近いダンジョンに封印されています。」
私の家から一番近いダンジョンって何ですか?そんなファンタジー建造物少なくとも日本にはないと思いますけど?
声の主はダンジョンが沢山あるような事を言っているが、そんなものがあると聞いたことは無いし見たことも無い。
「起きれば全てわかると思いますよ。」
あ、多分笑った。少し気配の鋭さが消えた気がする。あと今私の思考を読まなかったか?なら名乗って欲しいんだけど…
「話を戻します。」
声の主は姿勢を正して、再び話し出す。
「その封印を解くには、沢山の魔力と優秀な魔導素材が必要で、その二つをあなたは持っています。」
何を言っているのかさっぱりだが、要するに私にしか助けられないらしい。
「なのでどうか私を助けていただけませんか?」
色々聞きたいことがあるが、とりあえず助ければいいらしい。考えたいが眠気が強くて思考が回らない。
「もう時間ですか…では次はダンジョンの最下層で会いましょう。」
その言葉を最後に声の主は消えてしまう。
創造主を失った夢はすぐに終わった。
訳の分からない夢からさめても、私の部屋に変化はなかった。
『起きたらわかる』と彼女は言っていたが、実生活に影響を与える程ではないらしい。
「うわ…今日月曜日か。」
『10月1日 月曜日』夢のせいですっかり忘れていたが今日は仕事だ。憂鬱な気分で少し肌寒い洗面所に向かう。伸びきった黒髪と少し気だるげな顔はいつもの私、顔を洗いながら変化が確認したがいつも通りだった。
リビングで昨日買ってきたパンを食べながらテレビを見る。
「なんか拍子抜け…え?」
小さい液晶に映ったのはニッポンドームだった。観客もいない平日に中継という形で。
2年前に開会式で見た時もそうだったが、一つだけ明確に変化した場所がある。
グラウンドの真ん中に、どう考えてもこの場に似つかない西洋風の神殿が建っていた。
草木が生え、どこか年季を感じさせる石柱は作り物にしてはリアル過ぎる。
「これが…ダンジョン?」
スマホの検索機能で私の家からニッポンドームまでのルートを調べる。徒歩5分、コンビニ感覚でダンジョンが出来ていなければここだろう。
「とりあえず会社辞めるかぁ〜。」
巡る思考の中で真っ先に思いついたのはコレだった。
次回から話が進みます。