並行世界2
砲撃の音が響く。
正直一個師団は連れてくるべき魔物の討伐だが、ギルドは何を考えているのか。
そう思いながら、迫撃砲を縮小する。
「お手柄でしたね、【技術者】閣下」
「誉め言葉は不要だ。先に進むぞ」
冷淡に言い放ち、俺は先に進む。
魔物を技術で討伐するのが俺の仕事だからだ。
先のステージでも、同じように迫撃砲で魔物を砲撃する。
ナパーム、せめて列車砲でも持って来るべきクラスⅴの魔物を迫撃砲で倒すのは難しい。
だが、時間をかけてあと一発と言うところまで削った。
魂をこめて迫撃砲の一発を放つ。
その弾丸は命中し、魔物の身体を粉砕した。
後日。俺は技術者ギルドに来ていた。要件は勿論報償増額要求。
「これだけの報酬では砲弾代だけでも足りませんよ?」
「分かってる。だが、ギルドも財政難なんだよ」
そんな水掛論を延々と繰り返す俺とギルド員。
それをみかねてか、機関銃員が止めに入った。
「まあまあ、落ち着いてくださいよ。具体的には何ライヒまでなら増額出来るんですか?」
だが、それが火に油を注いだのだろう。俺達は即日解雇を言い渡された。
所謂一文なし、と言うやつである。
仕方なく、実験室に戻る。暫く兵器でも売って過ごすか。幸い、鉄鋼とタングステンは捨てるほどある。
ポケット縮小機能付きの迫撃砲はあるから、それのゲルリッヒ砲バージョンでも作るか。
そう思いながら、引き出しを開けた時だった。
なにやら魔法陣のようなものに身を包まれ、砲弾と縮小迫撃砲、縮小列車砲の入った箱と共にどこかに連れて行かれた。
たどり着いた先には。
「は?俺⁈」
そう。少しオカルトチックで、でも確かに俺が立っていたのだ。