Leliant Ⅳ
後書きにて詳しく!
ふと、見かけただけだった。
手入れのされた短めの金髪。青い瞳。
しかしその表情は悲壮に満ち、手枷。
何があったのか、手近な者に尋ねた。
季節は冬。それも真冬だ。
外は雪のみと言えるほど。屋内でも下手をすれば氷が張り付いている。
そんな中、石造りの廊下を歩いていた。防寒着を着ていても寒い。
やがて、目的の場所に着くと、兵士が姿勢を正して敬礼する。
「出してやれ」
それだけ言うと、牢番の兵士は怪訝な顔をする。
やはり、これだけでは無理らしい。
「湯浴みをさせて僕の寝室に連れて来い」
今度は納得したような顔の兵士に背を向けて、彼はその場を後にした。
ノックの音。次いで、
「連れて参りました」
「そいつだけ入れろ。お前たちは行っていい」
扉が開き、背中から押し込められるようにして女が一人入ってくる。
遠ざかる足音。
「…………」
綺麗な、しかし脱がせ易いドレスを着せられた彼女は、睨むような目で彼を見ている。
それに気を悪くした様子も見せず、彼女に歩み寄って金色の短い髪に触れる。きちんと湿っていた。
「湯浴みはしたようだな。
まさか、水で洗われたりしてないよな?」
言って、暖炉の前に行く。椅子がひとつ置いてあった。
「ほら、そんな所に立ってないで座れ。
寒かっただろう?」
戸惑いを見せる彼女に、彼は微笑んだ。
「あの牢はな」
素直に椅子に座った彼女に温かいスープの入ったカップを渡しながら、彼が言う。
彼女は戸惑いがちな瞳から敵意を消し、カップを受け取る。
「裁判をしてやるつもりのない人間を殺すための牢なんだ。特にこの季節はな。
ろくな防寒着を与えずに一晩放っておけば、凍死体が出来上がる。
遠慮せずに飲め。芯から冷えてるだろう? 何か食べるか?」
「徠椋殿下……?」
テーブルの料理を適当によそいはじめた彼に、彼女が初めて口をきく。
「徠椋でいい。
……ああ、寝室云々は口実だ。本気にするな。
ああでも言わないと無理だったからな」
料理の皿を彼女に渡し、
「ごめん、腹も減ってたな。取り敢えず食べてから話そう」
「リーリアント……だったな。愛称は?」
暖炉の前にふたつめの椅子と簡易テーブルを持って来て、向かい合わせで食べながら問う。
「リリアです。殿下」
「徠椋、だ」
リーリアントは黙って徠椋を観察した。
母親譲りの黒い髪にブラウンの瞳。もうすぐ十七歳になる筈だ。第三王子。
背は男性としては長身ではないが、小柄な彼女からすれば高い。
「僕もそう呼んでいいか?」
一瞬の後、それが愛称のことだと気づく。
「は、はい」
「リーリアント……春に咲く花だな。
ああ、敬語でなくていい」
「え……?」
「普段は違うんだろう?」
「し、しかし……」
「分かっている。気に入らないんだ」
フォークを置き、彼女の青い瞳を見つめながら言う。
「君は情けをかけられるのを嫌う。僕が、凍死が可哀想だからこうしていることが気に入らない。
そうだろう? リリア」
「な、何で……」
「なんとなく」
言うと、またフォークを取る。
「別に他意はないし、恩を着せようとか思っていない。
……安心していい」
言いながら料理を口に運ぶこの王子を、リーリアントは不思議そうに見つめていた。
『コルツメイルの華』
ある貴族の家に三代前から伝わる、王家より賜った家宝。
美しく繊細な硝子細工で、今ではその製造技術は失われている。
それが、割れたのだという。
記録によると、所持・保管していた貴族フォルスワーム家の者が、不注意で割ったらしい。
リーリアント・フォルスワーム。
それが記録にある、コルツメイルを割った貴族令嬢の名だ。
「……やっていないんだろう?」
記録の写しを彼女の目の前に置き、開口一番そう言う。
王家よりの賜りものを損壊したとなれば、不敬罪が適用される。その裁判のために彼女は投獄されたわけだが……。
「触ったこともないわ」
ぷいと顔を逸らしながら、言うリーリアント。
「あの牢に入れるぐらいだからな。フォルスワーム家が圧力でもかけたのか、君をどうしても犯人として殺したいらしい。
裁判が始まっても、不利な展開だろうな」
「……貴方は信じてくれるの?」
目を瞬かせ、リーリアントは徠椋を見つめる。
「これでも、人を見る目はあるつもりだ。……勘みたいなものだけどな」
言いながら調査資料の写しをめくり、
「裁判の予定は三日後か……。
圧力をかけているのがフォルスワーム家なら、僕の権限で何とかなるかもしれない。
君はそれまで、ここで過ごすといい。
大丈夫。牢へは戻さないから」
言うと、扉を開き外の近衛兵に何か指示をする。
暫くして、女物の寝巻きが届いた。
「……ええと、湯浴みはしたんだったか。
もう一度風呂に入っても入らなくてもいいから、取り敢えず向こうでこれに着替えてくれ。
もう遅いし、寝よう」
寝室に繋がっている浴室を指しながら言うと、自分はソファに向かう。
「僕はこっちで寝る。そのベッドは君が使ってくれ」
実を言うと、この寝室のほかにも徠椋の私室はあり、そこにもベッドはある。というか、普段はそっちを主に使用していて、ここは滅多に使わない。
彼女と別々に寝るならそっちに行けばいいのだが、ここに連れ込んだ名目上、そういうことをすれば彼女は牢に戻される。
「そんなの悪いわよ。私がそっちで寝る」
「いや、女の子をソファで寝かせて、自分はベッドで、なんてできないよ」
「それ、男女差別よ」
徠椋は苦笑を洩らす。彼女ならそう言うと思った。
「じゃあ、一緒にベッドで寝ましょ。広いから離れて眠れるわよ」
「……ち、ちょっと待て……」
流石にこれには焦る。リーリアントは十六歳。今の徠椋と歳は変わらない。
「軒を借りて母屋を取るような真似はしたくないの。貴方がソファで寝るなら、私は床で寝るわよ」
……確かに、彼女の性格からすれば当たり前の言葉だ。
結局、徠椋が折れて、同じベッドで離れて眠った。
ノックの音。
それで、彼の意識は眠りから引き戻された。
こんな早くに……と、一瞬思ったが、窓から差し込む光からするとそうでもないのかもしれない。
「徠椋。起きてるか?」
誰の声かはすぐに分かった。しかし、ここへ来る理由が思い当たらない。
疑問に感じつつも扉を開けた。
「……どうなさいました? 王太子殿下」
「うを!? 俺は他人か!?」
大袈裟に驚いたのは、ライトブラウンの髪に同じく茶色い瞳の男。
今年で二十八歳になり妻もある、この国の王太子・挺朽である。
この国では何故か、王位継承は出生順ではない。王が自らの子女の中から、適当な者を選ぶのである。
有能なものを選ぶのならまだ納得がいくが、これまでの歴史を振り返ると、必ずしもそうではない。確かに無能なものは選ばれないが、他の才能あるものを押しのけて王位に就いた王もいた。
この挺朽も、どういう基準で選ばれたかは不明だが、一年近く前に兄と姉を差し置いて、母である国王から王太子の位を授けられた第二王子である。
「……いえ、家族ですが」
徠椋が言うと、挺朽は十二年下の弟の頭をぽんぽんと叩き、
「そうだろうそうだろう。
……で、お前は家族を役職で呼ぶか? 私的な場所で」
「……すみません、兄上」
「よしよし」
納得したようにうんうんと頷く挺朽。
「……どうなさったんですか?」
王太子の位を授けられて以来多忙となり、滅多に会いに来る人物ではない。
と、挺朽はいきなり寝室の奥を覗き込む。
「あ、兄上!」
ベッドにはリーリアントがいるのだ。慌てて振り返ると、案の定、彼女は眠たそうに目を擦っていた。ベッドの上で半身を起こして、寝巻きのままで。
「おーおー、噂は本当か」
楽しそうに言う挺朽。
「ち、違うんです! 僕は……!」
「違う?」
訝しげな挺朽に、徠椋は言葉を失った。ここで何も無かったと言えば、リーリアントは牢に戻される。
「……あ……その……何でもないです」
「お前も成長したんだなぁ」
嬉しそうに、また徠椋の頭に手を置いて言う挺朽。
「恥ずかしがらなくていいぞ。思春期なんてそんなもんだ」
結局、弟を弄ぶだけ弄んで王太子は去って行った。
「じゃあ、僕は行くから。
食事とかは持って来させるから、ここから出るなよ」
彼女の視界に入らないように浴室の脱衣所で着替えを済ませた徠椋は、寝室を出ながらそう言い、彼女を残して公務に赴いた。
コルツメイルの一件も、自分の権限で調べるつもりで。
だが、事情は思ったより複雑だった。
「ファルスワーム家だけではないんだ」
夜になって戻ってきて、向かい合わせで食事をしながら言う徠椋。
「何か、もっと大きな黒幕が居る。
リリア、心当たりはないか? 何故コルツメイルの華が割れたのか」
「知らないわ。そもそも、遠目に見たことしかないもの。
兄様や姉様……それに親なら何か知ってるかもしれないけど」
「記録がおかしい。
一応今日、僕の権限で圧力をかけておいた。
急がないと、裁判まで時間が無い」
そう言い終わる頃には、食事が終わっていた。席から立ち、食器をまとめはじめるリーリアント。
「大丈夫だ。仕えの者がするから」
「自分で出来ることはするの」
きっぱりと言う彼女に、徠椋は驚かずに微苦笑を洩らす。
「何?」
「いや、そう言うと思っていた」
言い、徠椋も席を立ち、リーリアントの髪に触れる。
「髪が短いのも、手入れが簡単だからか? 侍女にでも任せればいいだろうに。
そんなに他人任せは嫌か?」
「お見通しみたいね」
「勘はいいからな。
……しかし、惜しいな。綺麗な髪だ。伸ばせば映えるだろうに」
「飾り立てるのも嫌なの」
「やはり、そうか」
「また『何となく』思ったの?」
「ああ」
「変な人」
言いながら、リーリアントは食器をまとめてしまった。
罪状は不敬罪。
それだけなら、まだ軽い処分もある。
しかし、国宝級の賜りものの損壊である。裁判では、死を以って償えとなるだろう。
公務の合間、徠椋は必死に資料に目を通していた。
裁判は明後日。この資料の複雑さから見て、即日死刑が言い渡されるのは確実だ。徠椋が弁護に立つということも考えたが、出会って数日で何をどう証言すればいいのか。
――そう。出会ってまだ丸二日と経っていない。それなのに、何故自分はこんなに必死になっているのだろう。
分からない。分からないが、とにかくリーリアントには死んで欲しくないのだ。
やがて、時間が来て次の公務が始まる。
多少やっつけ仕事になりながら、彼は急いで雑務を済ませた。
寝室の扉をノックする。
「リリア、入るぞ」
彼が扉を開く前に、リーリアントが中から開けた。
「おかえりなさい」
「……すまない。僕ではどうしようもなかった」
裁判は明日だ。粘ったが、資料がどういじられているのかも分からなかった。
しかし、何故だろう。ここに帰ってくる道すがら、落胆よりも寧ろ嬉しかった。
リーリアントに会えるという事が、嬉しかった。
徠椋の分まで夕食を皿に分け始めるリーリアントを見つめ、ふと、気づいた。
――自分の気持ちに。
「リリア……僕と結婚しないか?」
驚くほど自然に、その言葉が出た。
「そうすれば、不敬罪なんて及ばなくなる」
「………………
……なによ、それ」
料理を分ける手を止め、振り返りもせずにリーリアントは呟いた。
「私が可哀想だから?」
「あ、ちが……」
徠椋が言いかけたが、振り返り、叫ぶリーリアントの声に遮られた。
「私が死ぬのが可哀想だから、好きでもないのに結婚するの!?
何!? そんな簡単なこと!?
そりゃあ、無罪放免になってから離婚でも何でもすればいいでしょうけど!」
「違うんだ、待ってくれ、リリア!」
「何でそこまでするのよ!?
貴方にはどうでもいいでしょ!
こんなお情けで生かされても嬉しくないわよ!!」
「違うんだ!!」
徠椋は叫び、リーリアントを抱き締めていた。
「確かに、君を死なせたくない。でも、それだけじゃないんだ。
君が、好きだ。だから……」
「ふざけないでよ!」
徠椋を突き放すリーリアント。
「出会って三日で好き!? そんなの気の迷いよ!!
私が可哀想だって、感情に酔ってるのよ!!」
「君が好きなんだ!! 一緒にいてくれ!!」
もがく彼女を、無理矢理に抱き締める。
「最初は形だけでもいい。寝たいとかキスしたいとか言わない。
……少しずつでいい。僕を知って、打ち解けてくれ」
「いい加減にして!!」
リーリアントがもがくが、所詮彼女の細腕では振り解けない。
「私、牢に戻る!」
「……! そんなことしたら死ぬ!」
一瞬怯んだのが仇となった。その一瞬で彼女は徠椋の腕から抜け出し、寝室の扉に駆けていった。
「牢に戻してください。もう徠椋殿下の庇護は受けません」
寝室から出て、警護の近衛兵に言うリーリアント。
「待て! リリア!」
叫ぶ彼を一瞬睨み、リーリアントは兵について歩いていった。
兵に、リーリアントを行かせるなと命令すれば良かった。
そう思うが、そんなことをすればリーリアントは絶対に彼を許さなかっただろう。
あれだけ、彼女のプライドを傷つけたのだから。
呆然と床に座り込み、彼女の最後の表情を思い浮かべる。
きつく睨む視線。あれが別れか。
今夜、彼女は牢で凍え死ぬ。誰だか知らないが彼女を陥れた人物の思惑通りだ。
だが、その人物を恨む気にもなれない。
ただ、自分が恨めしい。
彼女があんな成り行きを良しとしないのは、少し考えれば分かったのに。
――側にいて欲しいだけだった。
今から母親――国王に会って懇願してみようか。妻にしたいと願い出てみようか。
――駄目だ。リーリアントは許さない。
せめて防寒具の差し入れでもして……いや、彼からと知って受け取ってくれる筈がない。
沈黙だけが流れる。
ふと、自分からだと伝えなければいいと気づく。
そうすれば、せめて今夜は彼女は生き延びる。やっとそのことに気づき、急いで寝室の扉を開けた。
「おや、やっと出てきたな」
気楽な声と鉢合わせする。廊下で、兄の挺朽が立っていた。
「兄上、後にして下さい。リリアが凍え死にます」
それだけ言って擦り抜けようとするが、腕を掴まれる。
「放してください! リリアが……!」
「落ち着け。彼女は俺の部屋だ。サラが面倒をみてるから」
驚き、振り返る。
「お前ら、大声で喧嘩してただろ? 外まで響いて、俺のところに報告が来たんだよ。
……お前らに何かあったら知らせろって、命令したからな」
挺朽は、弟の肩に手を置き、
「ほら、何があったか聞こう。まずは落ち着け。な?」
「……成る程な」
盛り分けられる途中の夕食が放置された寝室で、挺朽は腕を組んで言う。
「ところでお前、何でお前の勘がいいか、分かるか?」
急に関係のない話をふられ、きょとんとした表情をする徠椋。
そんな弟を放って、挺朽は話を続ける。
「『予見の知』って俺たちは呼んでる。
代々王家に伝わる能力だ。
歴史上、この国の王が無茶苦茶な賭けに出て成功したことが少なくないだろ? 実はあれ、成功するって分かってたんだよ。『予見の知』でな。
直感能力……それも予知に近いぐらいだな。代々、この能力が優れた王族が王位について、国王だけがその秘密を守ってきた。
ほら、戴冠式のときに飲む神酒があるだろ? 俺も王太子着任の時に似たようなもの飲まされたけどな。あれ、王族の『予見の知』を覚醒させるためのものなんだ。俺もあれでかなり能力が覚醒した。
……実を言うと、お前らがこうなることも分かってた」
「………………」
項垂れた表情で、兄の話の続きを待つ徠椋。
「……で、『予見』能力がどれぐらい子孫に受け継がれるかだが……これは結婚相手との相性が大きいらしい。俺もおふくろさんから相性のいい相手のリストを渡されて、ここから選べって言われた。サラの名前があってほっとしたよ。
……で、お前とリリアとの相性だが……実は、お前に内緒でおふくろさんに訊いてみた」
ごくりと、徠椋の喉が鳴る。
「悪くないってさ。良かったな」
笑顔で、弟の頭に手を置く。
「しかし……リリアは僕を許してくれません」
「本当にそう思うか? お前の『予見』がそう言っているのか?」
「………………」
暫く、徠椋は考え、
「もう一度会って、話したいです」
「よし、なら説得して連れてきてやる。今度はヘマするなよ」
言い、寝室から出かけて、戸口で振り返り、
「あ、『予見』のこと、他には内緒な。兄貴や姉貴にもだぞ。
代々国王以外知っちゃいけないんだよ。本当は」
悪戯っぽく、そう言った。
「終わったかー?」
気楽な調子の声。扉が開く。
「おやまあ」
挺朽は部屋を一瞥し、呑気に言う。
「泣かせたか。悪い男だなぁ」
リーリアントは床に座り込んで泣いている。一方、徠椋は真面目な面持ちで兄を見た。
「兄上。リリアの件、僕が責任を取って王位継承権を放棄するということで話はつきませんか?」
床に座り込んだリーリアントの嗚咽からは、「どうしてそこまで」ということばが何度も聞こえる。
「リリアを見捨てたフォルスワーム家に婿入りする気はありません。ファイロム家に話をつけていただけないでしょうか?」
ファイロム家は、中規模の後継者のいない王家の分家である。
「う~ん、やっぱりそういう結論に達したかぁ」
挺朽は、少し考えるような仕草をして、
「んじゃ、おふくろさんからの伝言」
指を一本立てて、言う。
「『王宮を出たいなら好きになさい。』」
次いで、もう一本指を立て、
「『ただし、能力を持つものが王位継承権を放棄することは許しません。』だとさ。
要するに、俺に何かあったらここに引っ張り戻されて、お前が王太子だ。
お前、俺の次に能力が高いんだぞ?
……それでいいか?」
頷く徠椋。挺朽は、床にへたり込んでいるリーリアントに近づき、彼女の肩に手を置くと、
「そういうわけで、よろしくな。
フォルスワーム家なんかとは、縁を切っちまえ」
「……はい。……王太子殿下……」
「ををうっ!?」
嗚咽しながらもリーリアントが返した言葉に、挺朽は大袈裟に驚き、
「彼女にとって、義兄の俺は他人らしいぞ」
弟に向かって、哀しげにそう言った。
しかし、考えなければならなかったのだ。
何故、挺朽が徠椋に『予見の知』のことを教えたか。
何故、母王が徠椋の結婚相手を見定めようとしたか。
自らが王位を継げぬ事に腹を立てた第一王子に殺害された挺朽に代わり、徠椋が王太子となったのは、それから二年三ヶ月後のことだった。
時は流れ――兄の享年と同じ三十で、徠椋はこのエルベットの王となったという。
―― Fin ――
お読みくださりありがとうございます(o^―^o)ニコ
ファムータルと徠諒の文字が違いますが、書いた時期があまりに古くてパソコンのユーザー辞書から消えていて、新しく変換して作った文字が徠諒です。
実は、iらんどに掲載したときはもっと長い話だったのですが、まさかの改稿データ紛失!Σ(゜д゜lll)ガーンにより、最初の短いものしか残っていませんでした。
廷朽も生き残るようにしていたのですが。...( = =) トオイメ目
あれはもう二度と書けないので、気が向いたら改稿を改めてしたいです。
設定をファムータルで流用したため、被る箇所多いですが、ファムータルではいくつか変わった設定もあるので、別物と思ってください。
ちなみに、作中では、予見能力は弟のほうが高いです。
廷朽は文字通りの捨て駒でした。
廷朽はそれを理解していた、という設定です。
廷朽のキャラ、当時から変わりませんね。
私の理想のお兄ちゃん像。
ライは設定変わりましたが……。
今後過去作の投稿は、原稿が無事なものではLeliantⅡくらいしかないです。
ただ、あれは長いので……しかも、改稿というか、体言止めが多い点ぐらいは治したいと思っているので、アップ遅れるかもです。(待っている人おらんて……というツッコミは……OKです)
なお、当時の王姫の好みでは、「王子さまは黒髪が一番!」という謎のこだわりがありました。(;^ω^)
懐かしい……懐かしくも恥ずかしい。