第十六話 初めての外泊
ロキ:「あの、今のって。。。」
ランディ:「ああ、十中八九俺たちを狙った襲撃でしょうな・・・」
ルイス:「あの、召喚術師はお知り合いなのですか?」
ランディ:「まあ、昔一緒に仕事をしたことがある程度の関係ですよ」
景気の悪そうな顔で吐き捨てるようにそう言った
ペレシア:「まあ、とりあえず今日はこれ以上できることはなさそうだね。」
ルイス:「ああ、残念ではあるけどね」
ペレシア:「ところで君たち、今日泊まる場所は?」
ふと、思い出したようにそう言った
ヘレン:「ああ、それなら心配しないで、私一応予定はあるから」
ペレシア:「おおーさすがお兄さんたち、ちなみにどこ?」
リーグ:「ええ、と、マレセランストリート一番地ってあるな」
その名前を聞いた時、ペレシアとランディは凍りついた。
ランディ:「ぺ、ペレシア様。この者たち、わかってるんでしょうね?」
ランディはペレシアに耳打ちするようにして言う
ペレシア:「うーん、わかってる人間の顔ではないね!
ねね、私たちもついて行っていい?」
ヘレン:「ええ、いいわよ。それじゃあ、行きましょうか」
一行はマレセランストリートに向かって歩き始めた
________________________________
たどり着いたヘレンの紹介した宿屋に着くと、一同は絶句した
リーグ:「ここって、」
絶句にも無理はない。壁は汚れ、屋根は剥がれかかり、ドアは歪んでいる
外壁となるはずのレンガはその一部が崩れ、窓ガラスは割れていた
ランディ:「はぁ、オタクら、本当にここに泊まるんですかい?」
ルイス:「も、もちろん。今の僕らは一文なしの冒険者と変わらないのですから!」
ランディ:「ああ、そうですかい、じゃあ!」
ダン!
ランディは大きく地に足を踏みならした
すると、カサカサカサカサ、、、、
中で何かが素早く這い回る音が鳴り響く
ヘレン:「まさかこれって、、、」
その音は、誰もが一度は目撃し、その脳裏にトラウマを植え付けたそれであった
ランディ:「そ、全世界の家屋の敵、コードネーム『G』!!!!」
ヘレン:「イヤァァァァァァァァァ、無理無理無理!!!」
ヘレンは怯えるようにロキの後ろに回る。
リーグ:「しかもここって、、、、」
リーグが指した宿屋のすぐ隣の建物を見ると
あろうことか闇ギルド"ケルベロス"の支部が構えていた
無論、敵の目と鼻の先で安眠できるほどの肝の座った人間など
いるはずもなく、一同は宿を変更せざるを負えなかった。
ルイス:「しかし、門だけは小さいな」
ロキ:「バカなこと言ってないで、今日どうする?」
ペレシア:「うーん、もし良ければだけど、うちくる?」
ロキ:「え?」
ロキはポカンとした顔でそう言った
ペレシア:「だってほら私の家大使館だし、襲われないし、超広いし」
ロキ以下3名:「ぜひお願いします」
________________________________
〜在ユートルビ大使館にて〜
時は夕方になり、日はすっかり落ちあたりが暗くなり始めた頃
ロキたちは大使館へと到着した
ヘレン「わぁー」
ロキ:「す、すごい、、、」
リーグ:「あぁ」
ルイスに至っては驚嘆し声も出ない様子だった。
オークの重厚な扉を開けると、目の前にはまるで子供の時童話で見たような
あまりに美しく、煌びやかな貴族のお屋敷が広がっていた。
ペレシア:「ああ。適当にくつろいで、今お茶運ばせるから」
ヘレン:「ああ、手伝います」
使用人:「いえ、大丈夫です。それよりお疲れでしょう。ゆっくりおくつろぎ下さい」
ヘレン:「あ、じゃあ、お言葉に甘えて・・」
???:「騒がしいな、私はこれから国王との晩餐会だというのに、、、」
部屋の奥から何か物音がして、誰かが出てくる
ロキ以下3名「!?」
その姿を見た時ロキたちは思わず立ち上がった。
ペレシア:「あ、おかえりなさい、兄さん!」
???:「ん、ああ、、ただいまペレシア」
顔を出した男は当代のユートルビア王国国王、クラウス・プリチャードだった
ルイス:「忘れてた、そうかここは大使館じゃないか・・・」
ロキ:「リーグ、クラウス王ってどんなひとだっけ」
リーグ:「クラウス王は歴代弱小と呼ばれたユートルビアを
商業と巧みな外交術で、世界有数の都市へと変貌させた立役者だ。
部下からの信頼も厚く、外交の場においてほとんど武力も使わずまとめ上げてしまうことから
”賢王”の2つ名でも知られてる。それだけでも十分すごいのに極め付けに
彼はまだ、18歳、僕らと2つしか変わらないんだ。各国の要人は彼の成長にある意味
目が離せない状態と言えるね。」
ロキ:「なるほど、、、」
クラウス:「こんにちは、ペレシアの友達かな?」
ペレシア:「まあ、そんなとこ」
ルイス:「こ、こ、、こ、こんにちは、え、ええーと。僕たちは、、」
ルイスは背筋をガチガチに硬直させそういった。
クラウス:「まぁ、そう緊張せず。格好からしてここらの人じゃなさそうだし
旅をしてきたというなら、ゆっくりして行くといい。
私はこれからここの国王と晩餐会があるから、これで・・・。」
ルイス:「あ、ありがとうございます!」
クラウスはロキたちを一通り眺めると、部屋を後にした。
ルイス:「ああー緊張した!同世代の人間とはとても思えない」
緊張の糸がプツりと切れたように乱暴に腰をおろしながらそう言った
リーグ:「ルイスは、終始ガチガチだったなw」
ルイス:「無茶言うなよ。一国の王様目の前に緊張せずにいられるか!」
ヘレン:「ええ、今日を最後にしないと。あの威圧感横目に3〜4日居座る度胸
なんてとてもじゃないけど・・・」
ロキ:「そのためにも、あの草を手に入れる方法を探らないとね。。」
ご購読ありがとうございます。
少しでも面白い!と思っていただけたらブックマークと評価の方をしていただけると幸いです。