帰還
何とか倒せました…
小鬼の岩窟を出たのは結局1日明けてたからだ。
他にゴブリンや魔物がいる気配は無かった。
一応、魔法陣のあった部屋を『看破・過去』を使い調べると奥にもう一つ部屋が見つかった。
そこにはまだ捕らえられた女の子や、そこそこの財宝があったからだ。
こういった場合、ハンターには救援要請の義務が生じ、財宝は全てハンター達のものとなる。
救援要請は、ギルドを出る時に受け取ったリストバンドから行うことが出来た。
後は休息を交えながら救援を待った。
行きと違い、帰りはオレも馬車に乗ることが出来るので案外その方が楽だ。
そして財宝はギルドから別に貸してもらっている収納用のカードにねじ込んだ。
昔はそのまま荷物袋に捻じ込んで持って帰っていたことを思うと、このカード型収納を考えた奴を尊敬したい。
救援用の馬車が到着した。
救援用の馬車に乗込む女の子達はあの儀式に使う為だったのか、乱暴された形跡もなく、本当に嬉しそうな顔をしていた。
ゴブリンに乱暴されると廃人同然になると聞いていたのでホッとした。
けれど、6人の命は救えなかった。
これはどうしようもなかったとはいえ、昇格試験の後味を悪くした。
◆ ◇◆ ◆◇◆
◆ ◇◆
◆
朝方お迎えの馬車に乗り込み、昼過ぎにはいつもの街に辿り着いた。
直ぐにでも寝ぐらのベッドでひと心地着きたいところだが、救援要請した手前報告に行かないと行けないだろう。
ギッっと重めのドアを開けカウンターへ直行する。
昼間ということで、余程余裕のあるハンターでもなければこの時間は此処に人はいない。
勿論『看破』で確認もしている。
「ただいま」
「あ、マオさん!お疲れ様でした」
「うん。早速報告と精算をしたいんだが…」
「はい。それでは奥の部屋を使いますのでついて来てください」
「分かった」
「それとリストバンドを返却して頂いても宜しいですか?」
「あぁ、これか」
リストバンドを外し手渡すとアメリアさんは席を立ったので、アメリアさんの後ろをついて行く。
2人で話すには少し大き目の部屋に通され座らされると、別のギルド職員がコーヒーを持って来てくれた。
「では、改めて依頼達成おめでとう御座います」
「有り難う」
そう言いながらアメリアさんは何かの測定器にリストバンドをかけている。
「あれ?」
「どうした?」
「マオさん…レッサーデーモンとも戦って…然も倒していらっしゃいますね!?」
「あぁ、成り行きで…」
「えぇぇぇぇ!!?そんな4等星クラスで倒せる相手じゃ無いですよ!?」
「ちょっとギルマス呼んで来ます!!」
「えっ…」
どうやら面倒なことになりそうだ…。
明日からはゆっくり投稿(更新する時は朝6時)で行きますのでどうぞ宜しく。
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