圧倒的差
踏んだ場数
「マオ?」
「ダイゼンさん!こりゃどういう事だ!?」
背中に腕を組んで見守ってるダイゼンに、前を見たまま声をかける。
「見たまんまだ!デュプリケイターはマオだ!」
「ガラン!首!」
「あぁ!?」
「傀儡の首輪…」
「あっんの馬鹿が…」
「あははは!どう?あんた達が見限ったメンバーがあんた達を苦しめる。いい趣向でしょ?」
アメリアが高笑いする。
「うるさい」
ソフィの爆火球が一直線にアメリアに向かう。
「フッ」
弾道上にデュプリケイターが割り込み、ノートンの受け流し宜しく籠手で軽やかに捌く。
ドォン!
「私の盾術?」
自分の火球を弾いた盾術を籠手で応用して見せる。
「めんどくせぇ奴だな!」
デュプリケイターに大剣が迫る。
ザン!
大上段を紙一重で交わしつつ、極至近距離で火球が産まれる。
「おいおいおい!」
振り下ろされた大剣を引き戻しつつ、大剣の腹で火球を斜に受ける。
「こいつっ!」
チラッと振り返ると、火球の対処に追われているメンバーがいる。
「いい加減ガス欠にならねぇのか!?」
「レンジャーの癖に魔力量多い…」
宣戦同盟は最初っからガス欠を狙っていた。
しかし一向に火球が収まらない。
「アレは魔法じゃないよ!」
「知ってんのか!?ワイズ!」
「あれは魔法と違って魔力を消費しない!代わりに威力は魔力と比べて小さいよ!」
「無尽蔵…」
「ぷっぷはははは!今頃気づいたぁ?私もこれをやられた時は驚いたよ。でもねぇ…いざこっちが使うと楽しくてしようがないわ!!」
「『傀儡』で引き出しやがったか…で、お前のスキルは『念話』か何かだろうが!!」
「正解。私のスキルで声に出さず、この木偶人形の頭の中に響かせればタイムロス無しに指示をだせるのぉ!あはははは!!」
行っている間も火球は降り注ぐ。
それを弾く前衛2人。
「ガラン、どうする?」
「底はこんなもんか…じゃぁ…決めるぞ!」
「あははは?何それ?」
デュプリケイターは双刀を十字に構え唸り声を上げる。
ピシッバリッ
「魔法剣か…」
「そうよ?面白いでしょ?」
「そうだな、俺と同じだな」
「へっ?」
ピッ
大剣が2つに割れる。
片刃の長剣2本がガランの両腕に握られる。
「ワイズ!」
「はいヨッっと!」
ガランがゆっくりと間合いを詰める。
「燃やしちゃえ!!」
「ハァッ!」
4つの火球がガランを包む。
だが、炎に包まれたままガランは歩みを止めない。
デュプリケイターは走り出し、炎に向けて斬撃を繰り出す。
ガランはそれを受け止めつつ、身に纏う炎とデュプリケイターの剣から伝う雷撃を魔剣に纏わせる回転する。
「ハッァァァアアア!!」
吸魔の魔剣を起点にして吸収、放出するアーツ『鏡魔』。
「!!」
デュプリケイターは十文字で受け止める。
しかし、爆風と雷撃が自らを襲い吹き飛ばされる。
「グハッ」
魔窟の壁に強かに打ち付けられ止まる。
くの字になって苦しむデュプリケイターを見て微笑むアメリア。
「立ちなさい。立って戦え」
靴の先で頭を軽く小突く。
「ゥグゥゥ…」
呻き声を漏らしながら立ち上がる。
シュゥゥウウ…
身体から白い煙が立ち昇る。
「ガラン…あれ…」
「たぶんダイゼンさんの『回復』だろう…。奴の剣は魔剣じゃない。『術』と剣に纏わせるスキル。そして…」
デュプリケイターの両眼から赤い線が頬を伝って滴っている。
「鑑定…」
「スキルの使い過ぎ…?」
「そうだ、スキルは知らない内に精神を削る。あれがデュプリケイターの弱点だ」
ゆらゆらと歩いてくる。
それは正にリビングデッドの様だ。
「そして…、ノートン、聖の祈願。ソフィ、四弦の響震。ワイズ、全昇頂鎧」
「ガランさん。まさか真正面から?」
「用意する」
「もっと簡単にやれるのに…」
「あれがガラン。宣戦同盟のリーダーよ」
「はいはい、了解しました」
「ガァァァァ!」
デュプリケイターが火球と雷撃を同時に放ち突撃してくる。
3人のアーツが解き放たれ、ガランの背中に溶け込んでいく。
するとガランの周囲に3層の薄い膜が発生する。
「はははははっ!全く楽しいなぁおい!」
テンションの上がったガランに、デュプリケイターの剣が縦横無尽に迫る。
それに沿う様に反対からのガランの剣筋が向かい、ほんの少しデュプリケイターの軌跡をずらす。
キィィーーーーー
払うのではなく、打ち合うのではなく、ずらす。
ただそれだけのことだが、信じられないほどの反射と経験則がなければ成立しない。
それだけガランの技量はデュプリケイターの技量を上回っていた。
「ウ゛ゥゥ…」
剣技で勝てないと悟ったのか、半歩下がって火球を…
「うぜぇ…」
発生直前の火球を剣の腹で弾く。
「グッ…ガァァァァ!」
雷撃がデュプリケイターの身体から発せられる。
それは十文字にした魔剣が吸い付くし、撃ち返される。
デュプリケイターの『天足』は瞬間に斬撃を避け、そのまま足払いに転じる。
「馬鹿野郎が」
ガランの足は大樹の様に大地を掴み、デュプリケイターの足払いはガランの左足元で止まった。
それをガランは見逃さない。ガランの右足がデュプリケイターの顔面を捕らえる。
「ブヘッ!」
ボロ雑巾の様に転がるデュプリケイター。
「もぅ…役に立たないわね…」
いつの間にか魔窟の屋根に登ったアメリアが呟く。
「いいわ、貴方の役割はこれで終わり。暴発して死になさい」
冷ややかな視線を浴びせながら、そう言葉を投げ捨てた
現在ゆっくり投稿中(本編更新は朝6時)ですのでどうぞ宜しく。
2日に1回程度の更新になります。
明日は『解放』と『幕間』の2本をそれぞれ、6:00と12:00に配信します。
あっ、宜しければ★を押していただいたり、感想などを書いて頂くと嬉しいなぁ…。




