不安
罠に嵌る…
可笑しい。あの少年はこんなにも訓練を休む子だったか?
私の頭の中で何度も何度も巡る。
ココはハンターズギルド地下一階修練場。
奥の壁に背中を預けて自問自答している。
私が教えていた少年が見えなくなって3日たった。
1日目は気分転換だろうと思った。
2日目は長期依頼を受けたのかと思った。
そして今日、特に長期依頼にも出ておらず、この3日ハンターズギルドにも顔を出していないらしい。
(私があの子を傷つける事を言ってしまったのだろうか?)
ちょっとキツく当たったのは確かだ。
けれど、あの子なら乗り越えてくれると信じている。
「姐さん。アイツなら大丈夫ですよ。根性ありますから」
「私が説教じみた事を言ったのがいけなかったのでしょうか…」
同僚の2人も心配している。昼も近くなった。
そろそろ何かあっても良い頃合いだ。
ザッザッザッ
町人だと言われても遜色無い格好の男が2人歩いてくる。
「どうだった?」
「はい。私の方は特に消息は掴めませんでした」
「分かったご苦労」
「俺の方ですが、どうも貧民街に出向いていたようです。そこからの行方が掴めません」
「貧民街?」
「あんな所に何が?」
ガイは首を傾げる。
私はここ最近のあの子の行動を思い起こす。
❶相当焦っていた。
❷スキルの習得に熱心だった。
❸スキルの為に私の娘ミツキを尾行…
「まさか…」
「何か分かったんですか?」
口元を抑え思考を巡らせていた魔法使いが顔を上げて聞いてくる。
「これは私の推測。あの子は『スキル』を追って何かのドブに嵌った」
「ドブ?どういう事ですか姐さん!?」
「しかも『スキルを追う』何て…あっ…鑑定の…?」
影の2人はムラサキの指示をただ待っている。
「エド、ゾン。貧民街を洗え。あそこにマオの手掛かりと洗い残しが残ってるかもしれない」
「「承知しました」」
2人はゆっくりと歩いて行く。
「さて…」
◆ ◇◆ ◇◆◇
◆ ◇◆
◆
「マオが拐われている可能性だと?」
「ん。まだ可能性だけどね」
「ムラサキ…それは何処までの可能性だ?」
「まだ5分5分」
「そうか…そうだとしたら参ったな…」
「もう少しでエドとゾンが帰ってくるはず。それ迄待って…」
「そうだな」
旦那は席を立つとコーヒーを作り始める。
しかも今日は豆を挽くところからのスタートだ。
ゴリゴリとゆっくりと豆を挽いている。
好みの荒さに仕上がった所でドアが開いた。
「「失礼します」」
「ど「どうだった!」
旦那は2人の方へと体を向ける。
「ダイ…」
「おっ、あぁすまん2人はお前の直属だったな」
「話して」
「代表して私が」
一歩前へエドが出る。
「ムラサキ様のご推察の通り不審な形跡があり、マオのものと思われる所持品も発見しました」
「そうか」
「また、そこで暴行を加えられた形跡もありました」
言葉を発しないが、組んでいる両腕が小刻みに震え、眉間に深い皺が入っている。
うちの旦那は相当ご立腹のようだ。
「他には?何処に連れ去られたのか分かる?」
「はい。そこでおかしな事を感じました」
「なに?」
「暴行を加えられても、彼にはマスター譲りの『回復』があるはずなのでよほどの事がない限り気絶する事はそうないと思います」
「ふむ」
「なのに連行される時に暴れた形跡がありませんでした。それはまるで自から歩いていた感じが取れました」
「暴行を受けた後で自ら歩き暴れた形跡もない…?それは!」
「恐らくですが…マオ君は傀儡の首輪に繋がれてる可能性があります」
現在ゆっくり投稿中(本編更新は朝6時)ですのでどうぞ宜しく。
3章からは2日に1回程度の更新になります。
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