焦燥と罠
焦りは禁物
『スキルに頼りすぎている』確かにその通りだ。
しかし、現状を打破するにはどうしてもスキルに頼らざるを得ない。
世界には役割がある。その役割を大きく超えることはできない。
ギルド加入時、暫定的なジョブを与えられる。
しかし、それはその時のステータスやスキルによって弾き出されるだけで、そこからの成長や会得したスキルによって様々なジョブに更新される。
ステータスは一朝一夕で変更は不可能。
オレがどれだけ便利だからといって、火術や雷術を使っても知性のステータスにいまだ影響がない事から分かる。
「くそっ」
壁を叩く。
これが宣戦同盟のリーダーやダイゼンさんなら、壁は凹む、もしくは破壊されるんだろう。
壁に触れた手の側面がジンジンと痺れる。
あの後、ムラサキさんは言った。
『君はまだ焦る時期じゃ無い』
と…けれど、このスキルで生きていかなければならないオレは、どうしてもそうは思えなかった。
◆ 一夜明けた ◆
午前中、ムラサキさんに扱かれて外に出た。
今日は1つ発見があった。
『看破』は、スキルを使っている時の対象の内面を把握する事も出来るのだ。
そして、『鑑定』『観察』を組み合わせることで、更に細かくスキルを模倣する。
これによって、今日の時点で『天足』をコピー出来た。
が、それを使っても中々ムラサキさんを捕らえることができない。
オレはこれをスキルレベルの差だと思っている。
『成長加速』のスキルはどんなスキルを使うときも使っている。
数日程度でスキルを会得出来たのだから、間違いなくオレは強くなっている筈。
◆◇◆◇◆
スキル
◉看破(LV6)up1
:鑑定(LV10)
:監察(LV4)up!
:過去(LV5)up!
:現在(LV4)up!
:未来(LV3)up!
:スキル(LV2)up!
◉高速回復(LV4)
:体力(LV4)
:魔力(LV4)
:怪我(LV4)
:状態異常(LV4)
◉天足(LV0)new!
◎大剣(LV0)
◎長剣(LV0)
◎小剣(LV7)up!
◎双剣(LV2)up!
◎短弓(LV6)
◎偵察(LV3)
◎隠密(LV4)up!
◎解除(LV3)
◎模倣(LV4)up!
◎体術(LV5)up!
◎回避(LV2)up!
◎火術(LV3)
◎雷術(LV3)
◎四魔法(LV1)
◎纏術(LV3)
◎採集(LV1)
◎毒耐性(LV4)
◎麻痺耐性(LV4)
◎睡眠耐性(LV4)
☆成長加速(LV2)new!
◆◇◆◇◆
どんどん隠密系に特化しているようで怖い…。
しかしここ数日、依頼を受けてない。
外の風も恋しくなっている。
(あっ!そう言えば最期の一つを…)
オレは忘れていた最期の1つを探しに貧民街へ出掛けた。
◆ ◇◆ ◇◆◇
◆ ◇◆
◆
貧民街は街の外れに位置していて、何もかもが寂れてしまっている。
昼だと言うのに活気もなく。
そこに住む人たちは生気がない。
何処となく恨めしげな目でこちらを見てくる。
何度かスリに狙われたが、残念ながら今のオレには通用しない。
「おっと…」
「大丈夫か爺さん?」
向こうから歩いてきた爺さんがよろめいたので手を貸した。
辺りを気遣いながら、数瞬だけ『看破』を使う。
入り組んだ路地も、オレの目からすればどうと言うことはない。
どうやら対象は伏せっているのか、寝ているのかずっと動いていない。
それを確認すると爺さんの手を取り、落ちた杖を拾った。
「おぉ…これは有難うございます」
「あぁ、気を付けなよ」
「お待ち下さい」
「え…と?何か?」
「どうやら何かをお探しのご様子。案内をさせて頂いても?」
「ん〜」
実際居場所は分かっているし特に頼む必要も…
「こう見えましても、ここいらの住人のまとめ役をしておりましてな?
儂がいれば殆どの住人は協力的になりますれば…」
願ってもない。
「そうか…分かった。じゃぁ頼むよ」
そう言って大体の場所を伝えると、爺さんはゆっくりと歩き出した。
貧民街の奥の奥、光も届かないような街の中の森のような場所を爺さんは迷いもなく歩く。
そして爺さんが徐ろに立ち止まった。
「恐らくここですじゃ…」
ドアはなく、ボロボロのござを入り口にかけてある程度だ。
「失礼するよ」
ござを押し除ける様に中に入ると、全身包帯の人が寝ていた。
「こ、この人は…?」
「この方はさる高名な方の娘さんでな?商売敵の罠に嵌って一族郎党捕まった挙句、壮絶な拷問を受けたのですじゃ」
確かに、新しい包帯なのに黄色いシミが至る所にへばりついている。
「成る程…でも、それならどうしてここに?」
「儂と仲間たちが厳しい見張りの中、何とかこの方だけお救いしたのですじゃ…」
「そうですか…」
自力で立てそうにない所を見ると、相当酷い拷問を受けたみたいだ。
「ぅぅ…あぁ…」
「おぉ…起きなされたか…」
爺さんが近づいて水差しを口元に運ぶ。
コクッコクッっと喉が動く。
「折角助けて頂いたのにお願いが御座います」
「何だ?爺さん」
「そろそろ包帯を取り替えようと思いますが、儂1人では手に余ります。
どうかお力添えを…」
「あぁ、分かった」
オレは女の子の上体を起こした。
「ゥゥアリガ…トゥ…」
何処かで聞いた様な声だった。
カチリ…
首に何か違和感を感じた。
「えっ、こ「お嬢」
オレの問いに被せる様に爺さんの声がのし掛かる。
今までの弱々しい声では無かった。
「ワ…レニ…シ…タ…ガエ…」
女の子の消え入りそうな声が、ゆっくりと耳に侵入する。
目の前が少しづつ暗転していく…。
現在ゆっくり投稿中(本編更新は朝6時)ですのでどうぞ宜しく。
3章からは2日に1回程度の更新になります。
あっ、宜しければ★を押していただいたり、感想などを書いて頂くと嬉しいなぁ…。




