誘拐
アメリアさん…
夜も遅く、一階には夜間対応のギルド職員しかいなかった。
直ぐに2階へ上がりギルマス室のドアを開けると、ダイゼンさんがソファーにもたれ掛かって天井を見ている。
「どうしたんですか?」
「おお、来たか」
俺より一回りある体躯を起こし重大な発言をする。
「アメリアが誘拐された」
「えぇ!?本当ですか?」
◆ ◇◆ ◆◇◆
◆ ◇◆
◆
ここ1週間で数人の逮捕者を出し、苦境に陥ったアサシンギルド。
「詳しくは分からん。しかしだ、アサシンギルドは尻尾を掴ませない事でも有名だった」
「はい」
「なのにだ、ここ1週間で4人もの逮捕者を出している。恐らくコレは奴らのとって不測の事態なんだろう」
「…」
「そしてこれからも炙り出される事を嫌ったアサシンギルドがハンターズギルドの華、アメリア誘拐した。
まぁ恐らくそんな所だろう」
「そんな…」
「はっきり言うがお前の責任じゃないぞ?お前はハンターズギルドの依頼をこなしただけだ」
「しかし…」
「しかも脅迫まで受けている」
「ぇっと…ダイゼンさん…それは…」
「お前を渡せとの事だ。どうやら彼方さんはお前の事に感づいてるみたいだ」
「で、だ。そこでお前の出番だ」
「えっ?」
オレを引き渡す?でも…出番って…?
「お前のスキルで奴らの寝ぐらを見つけ出しちゃくれないか?
憲兵隊と信用のおける精鋭ハンターで叩き潰す」
「ダイゼンさん…」
「ここまでウチを舐めてくれたんだ、ここいらで一発叩き潰してやる」
流石ハンターズギルドのギルマスだ。誘拐如きでは屈しない熱い男だった。
「それにお前のスキル、そいつは多分建物を透過して対象を見抜く事ができるだろう?」
「はい…」
何度かギルマスの前で『看破』を使っている。それだけで何となく分かっている様だ。
「他にも不思議だったんだよ。宣戦同盟がいるときはお前はギルドに顔を出さない」
「……」
「じゃぁ、頼むぞ。パッパッとアジトとアメリアを見つけ出してくれ」
◆ ◇◆ ◆◇◆
◆ ◇◆
◆
オレはギルドハウスの屋根に登り、『看破』を最大限に発揮する。
順調にスキルが育ってくれているから軽くこの街全体をカバーできる。
「いたっ!」
屋根から2階の窓に飛び込み、ダイゼンさんに場所を告げる。
「お前はアメリアを頼むぞ」
「分かりました」
「俺はうちのギルメンの精鋭を地下に待たせてある。
お前は俺の相棒の影を連れて行け」
「はい!」
既に用意は整っていたようだ。
直ぐに影と呼ばれた人が入ってきて握手を求められた。
影と呼ばれた人は黒装束に身を包み、目元しか分からない。
取り敢えず握手をした感触だと華奢な感じだった。
しかし、全身から滲み出る雰囲気は幾つもの修羅場を潜り抜けている様な、まるでダイゼンさんの様な雰囲気を醸し出していた。
現在ゆっくり投稿中(本編更新は朝6時)ですのでどうぞ宜しく。
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