第10章 雪音ちゃんと村娘達 120 〜 雪音ちゃんと冒険者達、逃げて来た女冒険者に翻弄される!⑤〜
私はマッドと淫乱斬り裂き魔の2人が会話のやり取りをしている間に歯を食いしばって激痛に耐えながら斬り飛ばされた腕の所へと移動した!
地面に落ちた私の左腕は、腕輪に擬態していたスライムのピーちゃんが擬態を解いて切断面に覆い被さり、回復魔法を掛け続けてくれていた!
「ピーちゃん、回復魔法ありがとね。もう大丈夫だから腕輪に戻ってて?」
「ぴー? ぴー?」
「そんなに心配しないでも大丈夫。もう油断はしないから」
「ぴー」
スライムのピーちゃんは不安そうな声で鳴きながらも腕の切断面から移動して再び腕輪に擬態してくれた!
私は落ちてる腕を拾ってその切断面を二の腕の切断面に繋げようと近付けるも、すんでのところでためらってしまう!
「うぅ、傷口同士がぶつかったら、すっごく痛いんだろうなぁ……」
「ぴー?」
私が腕を近付けたり離したりしていたら、ピーちゃんが「早くくっつけないのー?」って聞いて来た!
「く、くっつけるよ!? あっ、痛みを消す魔法使えば良いんじゃん!? なんで気付かなかったのぉ私!?」
私は痛みを消す魔法を使ってから切断面同士をグチャッとくっつけ、回復魔法を唱えた! オレンジ色の淡く優しい光が私の腕を包み込む!
きっと、腕を斬り飛ばされた時のあまりの痛さと淫乱斬り裂き魔への怒りで頭がいっぱいだったんだろうなぁ……。もっと早くに使っておけば良かったよ……。
癒しの光が消えたから、私は手をグーパーして繋いだ腕がきちんと動くか確かめる。うん、問題なし! ちゃんと動くね! 神経とかどうやって繋いだんだろうとか思っちゃうけど、そこは回復魔法と吸血鬼の再生能力のおかげだと思っておこう! だって、異世界だし!
「ピーちゃん、ありがとね♪」
「ぴー♪」
私は腕輪にチュッとキスをしながら立ち上がり、マッドと戦っている淫乱斬り裂き魔をギロリと睨みつけた!
「じょ、嬢ちゃん、その赤い目は!? いや、そんなことより斬り飛ばされた腕は大丈夫なのか!?」
「ええ、心配してくれてありがと。この通りもう大丈夫だよ」
私はくっつけた左腕を動かしてマッドを安心させてあげた!
「あら、すっご〜い♪ もうくっついちゃったの〜? 回復魔法って戦闘中は効果薄いはずなのに〜。ふふふ♪ あなた、面白い子ね〜? これなら何度でも腕を斬り落とすことが出来そうで、お姉さん大興奮よ〜♪」
「あなたは私を怒らせた! もう手加減なんてしてあげないからね!! 八つ裂きにしてあげるから覚悟しなさい!!」
私は淫乱斬り裂き魔に向かって右手の人差し指をビシッと突き付けた!
「こっわ〜い♪ でも、魔法使いちゃんに私の動き、ついて来られるのか、なっ!!」
ゆらりと淫乱斬り裂き魔が動いたかと思ったら、その姿が一瞬で消えた!
そして、いきなり私の目の前に現れ、右手に持った妖刀を左上から私に向かって斜めに振り下ろして来た!
私は左手に召喚した赤黒く怪しく光る大鎌を右から左に払ってその攻撃を弾き飛ばす!
すると、淫乱斬り裂き魔は弾かれた反動を利用して回転しながら左手で逆手に持った小太刀で私の首を狙って来た!
私は左足を後ろに引き上半身を後ろに反らして小太刀の攻撃を躱し、左足を軸にクルンと回転して全力の横薙ぎをお見舞いする!
「とりゃー!!」
けれど、淫乱斬り裂き魔の素速さは私に勝るとも劣らないものだったから、私の横回転斬りは淫乱斬り裂き魔の後方上空へと大きくジャンプした宙返りによってあっさりと避けられ、空を切っただけに終わってしまった!
「はっや!? くっ!?」
私は慌てるようにすぐさま後方へと大きく飛びのき、距離を取ったフリをした! 地面にスタッと着地した淫乱斬り裂き魔がニヤッと笑って私に追撃を入れようとダッシュして来る!
掛かった♪
私は指をパチンと鳴らし、合図を送った!
淫乱斬り裂き魔が私の流した血溜まりの横を駆け抜けようとしたところで私の合図で血溜まりから飛び出した赤い極太の蔓にいきなり足を掴まれ地面にズテンッとずっこけた!
「痛っ!? な、なにが起き、きゃあああああああああ!?」
ザバザバザバー!
血溜まりから極太の蔓だけでなく、その本体である食虫植物のウツボカズラの化け物みたいな巨大な血の化け物が姿を現し、淫乱斬り裂き魔の足に巻き付けた極太の蔓で淫乱斬り裂き魔の身体を上空へと引っ張り上げ逆さ吊りにした!
ちなみに、淫乱斬り裂き魔が穿いてるのはマイクロミニデニムのダメージ付きショートパンツみたいなのだからスカートがめくれて下着が披露されたりはしていない! ノーブラ・ノーパンが主流の異世界だから、スカート穿いてたら大きな隙が生まれたかもしれないのにね!
「さっきのお返し、不意打ち返しだよ!」
私の血から私が持ってる大鎌のような武器が作れるんだから、私の血で擬似的な魔物が作れてもおかしくないよね! 元になってるのは以前戦ったことのある魔物だよ! でも、可愛くも美しくもないから次にトラップ型の魔法作る時はなんか違うのにしようっと!
「なあっ!? ち、血溜まりから真っ赤なネペンテスラフレシアーナが出て来やがった!?」
「こ、こんなもので私を拘束できるなんて思わないで!!」
逆さ吊りの淫乱斬り裂き魔が妖刀を振るって自分の足を引っ張り上げている極太の蔓を斬り裂いた!
そして、頭から地面に落ちながら居合いの構えを取って私の血で出来たネペンテスラフレシアーナに連続居合斬りを放った!
幾重もの赤い剣閃がネペンテスラフレシアーナの身体を斬り刻み、その細切れになった身体が地面へボタボタと落ちながら元の血の姿へと戻っていく!
淫乱斬り裂き魔はクルッと回転して地面に華麗に着地を決め、私にドヤ顔を向けて来た!
「ふふん、残念だったわね〜♪ ちょ〜っとビックリしたけど、こんなのじゃ〜私は止められないわよ〜♪」
「残念なのはあなたの頭の方よ! ソイツの四肢を拘束しなさい!」
私は開いた右手を前に突き出し、私の血に魔力を送った!
ザバザバザバー!
「へっ?」
細切れにされ血の姿に戻ったはずのネペンテスラフレシアーナが再度血溜まりから出現し、淫乱斬り裂き魔の後ろから何本もの極太の蔓が淫乱斬り裂き魔の左右の二の腕から手首へ、太ももから足首へシュルシュルと巻き付いて縛り上げ、今度は淫乱斬り裂き魔の身体を大の字にしながら宙へと誘った!
「きゃああああああ!? ちょ、ちょっと何よこれぇええええ!? は、放しなさいよぉおおおお!? なんで細切れにしてあげたのに復活してるのよぉおおおお!?」
元が私の血で出来てるんだから細切れにしたところで無意味なんだよ? 私の意思と魔力でその形は自由自在なんだから♪
「あんっ、や、やぁああん!? む、胸にまで蔓を絡みつかせなくても良いじゃな〜い!! あっ、やだ、馬鹿!? どこに入り込もうとしてるのよ!?」
それはもちろん力が抜けて身動きを取れないようにするために決まってるじゃない? 弱点を突くのは当たり前だよね!
「それじゃあ、さっき腕斬り落とされちゃったお返し、させてもらおっかな〜♪ やられたらやり返す、倍返しだ〜!ってことであなたの両腕斬り落とさせてもらうね! あはっ♪」
「お、おい、嬢ちゃん!? そ、そりゃあ流石にやり過ぎなんじゃねえか!?」
マッドが斜め後ろから私の肩を掴んで、そんなことを言って来た!
あれ、マッドが引いてる? なんで? さっき裸にひん剥いて縄で縛ってそこら辺に棄ててやるとか言って、生きたまんま亡者の餌にしようとしてた癖に……。そっちの方が残酷だと思うんだけどなぁ? それに、
「二刀を扱う斬り裂き魔なんだから両腕斬り落としておいた方が良いと思うんだけど? 賞金首みたいだし生きたままギルドとか詰め所に連れ帰った方が良くない?」
斬り落とした腕は天上界の倉庫にしまっておけば腐ることもないし、ギルドとか詰め所に連行したあとでくっつけてあげれば問題ないと思うんだけどなぁ?
「いやいやいや、嬢ちゃん、首傾げんなよ!? なんでそんなに発想が物騒なんだ!? こうやって既に拘束できてんだから、このまま連れて行くのはダメなのかよ!?」
「私、自分の手を大勢の人に晒したくないんだけど? 大体こんなおっきな魔物連れて町になんて入れないでしょ?」
「そ、それはそうかもしれねえが!?」
「そこの童貞! 魔法使いちゃんの野蛮な行為をなんとしても止めさせるのよ! 殺っちゃっても良いわ! そしたら私のこの身体、自由に使わせてあげるから! 今ならどんな変態的な行為も受け入れてあげるわよ!? あっ、もちろんこの身体、処女だから! 童貞くんには重要なポイントよね!?」
ちょっ!? いくらピンチだからってマッドを身体で誘惑しないでくれる!?
「な、なんだと!?」
ギュイン!と物凄い勢いで淫乱斬り裂き魔に顔を向けゴクリと喉を鳴らすマッド!




