第10章 雪音ちゃんと村娘達 118 〜 雪音ちゃんと冒険者達、逃げて来た女冒険者に翻弄される!③〜
淫乱斬り裂き魔はマッドに向かって左右の腕を連続で振って両手の先から4本ずつ赤いナイフを斜め1列に横1列に投げつけ、さらにマッドの頭や左右の肩など、どこかしらに落下して当たれば儲けものと思って10本の赤いナイフをマッドの上空に放り投げた後、冒険者4名のリーダーであるピートの懐へと目にも止まらぬ速さで入り込んでいた!
にたぁ〜っと笑う淫乱斬り裂き魔!
「くっ!?」
ピートは懐に易々と入り込まれ慌てて剣を振り上げた! そして、すぐさま振り下ろそうとするも、その途中で淫乱斬り裂き魔の女の力とは思えない威力の宙返り蹴り ( 別名サマーソル◯キック! ) を剣の柄に受けて剣を上空へと弾き飛ばされてしまった!
「ば、馬鹿な!?」
淫乱斬り裂き魔は地面に着地して即、妖刀を腰に構えた! 刀身の周りに漂っていた赤く怪しく光るオーラが妖刀へと収束すると、淫乱斬り裂き魔はピートに向けて連続居合斬りを放った!
ガンガンガンガンガンガン!!!
上下左右斜めとあらゆる方向から幾重もの血のように赤い斬撃がピートを襲った!
「うぉおおおおおおお!?」
絶叫するピート!
しかし、その目にも止まらぬ高速の連続居合斬りは、雪音ちゃんが前もって掛けておいた蜂の巣型魔法の盾によって全て防がれた!
「うわ、かった〜い! 連続突きの方が良かったかな? でも、弱点はっけーん♪」
攻撃後、即座に後ろに飛びのいた淫乱斬り裂き魔がユラリと赤い刀を振り上げる! そして、その刀身から放たれる赤いオーラが一段と怪しく光り輝くと同時に淫乱斬り裂き魔は妖刀を一気に振り下ろした!
それを見ていた者達は始め、妖刀が単に空を斬っただけのように思ったが、
ピキピキピキ!
と少し遅れて宙に大きな黒い亀裂が生まれたのを見て驚愕の声を漏らす!
「く、空間を斬り裂いた!? いくら斬り裂き魔だからって空間を斬り裂くなんて非常識ですよ!?」
ロリコンさん、斬り裂き魔に常識を問うのはナンセンスだよ!?
そして、その大きな黒い亀裂にいくつもの小さい波紋が浮かんだかと思ったら無数の黒い羽をした蝶が続々と飛び出して来た!
しょ、召喚魔法!? あの妖刀、そんな芸当も出来ちゃうの!? 魔剣ディーアよりも有能じゃない!?
———— むっ!? 主様が妾以外の魔剣に心を奪われておる気がするのじゃ!? 主様、浮気はダメなのじゃぞ!? ————
などと倒れているチャラ男の側に落ちている魔剣ディーアは叫んでいたが、その声は雪音ちゃんには届かなかった!
「彼の者を弱らせなさい、血塗れの黒死蝶!」
淫乱斬り裂き魔が妖刀の赤い切っ先をピートに向けると黒い蝶達が黒い鱗粉を撒き散らしながらピートの元へと飛んでいき、ピートの身体の周りに展開されている蜂の巣型魔法の盾に次々と群がっていった!
「そ、そんな蝶でこの強固な防御魔法を壊せるとでも思っているのか!?」
ピートはたかが蝶と高を括りながらも自分の周囲に展開されている蜂の巣型魔法の盾が黒い蝶達によってドンドンと覆い尽くされていくことに恐怖した!
もうね、淫乱斬り裂き魔が赤い刀で空間を斬り裂いたのもビックリだけど、そこから黒く透けた羽のちょうちょさんがいっぱい出て来て、さらにビックリだよ! あまりにも異様で、だけど幻想的な光景につい目を奪われちゃってフリーズしちゃったけど、リーダーの言う通りだよ!
「そんな綺麗なちょうちょさん飛ばしても、触れたら燃えちゃうとか爆発しちゃうなんてことがなければ私の魔法が壊されるはずない、の、にって、えぇええええええ!? なな、なんでちょうちょさん、私の魔法の盾すり抜けちゃってるのぉおおお!?」
「あら、何をそんなに驚いているのかしら? 別に壊さなくても隙間が少しでも空いていれば霧化して中に入り込むくらい、あの血塗れの黒死蝶にとってはお手の物なのよ?」
確かに蜂の巣型の魔法の盾は六角形の盾を少し隙間を空けていくつも並べたものだけど、隙間って言っても1〜2mmしか空いてないのに!? って今、霧化って言った!? じゃあ、あのちょうちょ達って吸血コウモリならぬ吸血蝶!?
「は、離れろ!? この、この!! 俺から離れ、ぐぁあああああ!?」
「ピート!? 大丈夫ですかピートぉおおお!?」
「なっ!? 黒い蝶達の羽が徐々に赤くなっていきやがるだと!?」
やっぱり!?
「ま、まさかピートの血を吸って!?」
「せーかぁ〜い♪ あっ、でも、弱らせるだけで今は殺さないから安心してね〜? あとで私の刀で順番に斬り刻んで、あ・げ・る♪」
「あ・げ・る♪ じゃないわよ、もう! 燃える間欠泉!!」
私はリーダーを燃やす対象外に指定しつつ、地面の下から炎の柱を噴きあがらせた!!
「あら、お仲間さんごと燃やしちゃうの? あなた、顔に似合わず酷いことするのね?」
「そんなことする訳ないでしょ!? 吸血蝶だけ燃やしたに決まってるじゃないって!? ちょっとぉおおお!?」
私は文句を言いながら淫乱斬り裂き魔の声がする方に顔を向けると、私がリーダーに意識を向けている間に淫乱斬り裂き魔はロリコンの前へと移動してて、逆手に持った妖刀を地面に突き刺していた!
ボコボコッ! ボコボコッ! ボコボコッ!
「じ、地面から蔓が、痛っ!? ぎゃああああああ!?」
半球状の蜂の巣型魔法の盾の内側の地面から出現した何本もの太い蔓がロリコンの足に絡み付き、そのまま螺旋を描くようにしてその身体をあっという間に駆け登った!
そして、太い蔓から飛び出した無数の棘によって防具で覆われていない部分をブシュブシュッと刺されたロリコンはあまりの痛さに絶叫する!
「あは♪ やっぱり地面には防御魔法が展開されていなかったわね〜♪」
ブオン! ガキーンッ! ガリガリガリガリ!
「ちっ!? 後ろに目でも付いてんのかよ!? しかも、そんな小刀で防ぎやがってぇえええ!!」
短気のマッドがしゃがみ込んでいる淫乱斬り裂き魔の背後から剣で斬りつけようとしたが、その攻撃はマッドの動きを察知していた淫乱斬り裂き魔の、起き上がりながら後ろに振り向きざまに片手で振るった、逆手に持った赤い小太刀によってあっさりと防がれてしまった!
「ふふふ、後ろに目なんて付いていなくても、それだけ殺気だっていたら丸分かりよぉ〜ん?」
「クソッ!?」
マッドは盾を捨てて背後から両手で振り下ろした渾身の1撃を体勢の悪い淫乱斬り裂き魔に、しかも、片手で受け止められてしまったことに恐怖し、淫乱斬り裂き魔から距離を取った!
「あら、そこで逃げちゃダメじゃな〜い? 男ならもっと強気に攻めて来ないと♪ 私を裸にひん剥いて縄で縛ってそこら辺に転がすんじゃなかったのぉ〜?」
淫乱斬り裂き魔はクスクスと笑ってマッドをからかいながら蔓を召喚するために地面に突き刺した妖刀を引き抜き、逆手に持った赤い小太刀と順手に持った赤い妖刀でマッドに襲い掛かっていった!
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