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第3章 雪狼 002 〜私、怒ってるんです〜

「湖に着いたのです! おぉ〜とっても綺麗なのです〜! 透き通ったコバルトブルー、写真で見たことがある白神山地の青池みたいなのです〜感激なのです〜!!」


 私は湖のその神秘的な美しさに心を奪われた。入院暮らしで外にほとんど出たことがなかった、そんな私が、自分の体で目の前の大自然の神秘さに直接触れることができている。こんなにも嬉しいことはない。


 湖に近づき手を入れてみる。冷んやりとして気持ちが良い。両手ですくって、その綺麗な水を飲んでみる。


「冷たくて美味しいのです! こっちの世界は私にとって新鮮な刺激の連続なのです! 神様どうもありがとうございます〜♪」


 私は天に向かって感謝を述べる。まあ魔物との戦いは、心臓に悪い刺激なんだけどね……。


 その時、林の向こうで何かが争っている音が聞こえた。動物の悲鳴らしきものが聞こえる。私は助けなきゃと思って音のする方へと飛んで行った。


 体の大きい茶色の狼らしき動物4匹が、同じ狼 ( 体は他のよりは小さくて白いけれど ) を襲っている。


「弱い者いじめは許さないのです! 盾よ白い狼を守って!!」


 と龍の杖を白い狼に向けながら叫ぶ。杖の青い珠が青く淡く光ると、白い狼の周りに半透明の盾が現れ、体の大きい狼の攻撃を防ぐ。


 4匹の狼が代わる代わる盾に向かって攻撃するも、青く光る盾に弾かれるだけで、盾が壊れる様子はない。怒った狼達が横に一列になってこちらを見る。


「多分怒ってるんだよね。でも、こっちも怒ってるんだよ? 弱い者いじめとか最低なのです!」


 と龍の杖を狼達に向かって突き出し、文句を言う。杖の珠が私の怒りに反応してか淡く青く明滅してる。すると、体の大きい狼達も


「「「「ガルルルー!!!!」」」」


 と唸り返し、狼達の頭上につららのような物が横倒しで3本ずつ浮かび上がる。尖った先端がこちらを向いている、と思った瞬間、12本のつららが一斉にこちらに向かって飛んでくる。


 しかし、12本のつららは湖についた時から展開していたほぼ透明の盾によって弾かれた。


「ま、魔物だったの!? じゃあ遠慮しないよ? 雷よ、落ちるのですーーー!!」


 私は龍の杖を突き出し、狼の魔物達の周りに雷を5連続で落とした!


 ズドドドドッ!!


 当ててはいない。地面はえぐれてるけど。ひょっとしたら、白い狼の兄弟かもしれないし、群れの仲間かもしれないと思ったから、威嚇に留めたのである。


「次は当てちゃうからね?」私がそう言うと、


 4匹の狼達は腹を出して寝転んだ。言葉は通じてないのかもしれないけど、なんとなく理解できてるのかな?


 とりあえず私は4匹を無視して、うずくまってる白い狼に近づいてみる。怪我をしてる。白くて綺麗な毛皮のあちこちが血で赤く染まってる。なんでここまで酷いことできるのかな〜?


 私はカッとなって4匹に向かって雷を5連続で落とす。今度は、かする感じで落としてあげた。4匹の悲鳴が聞こえたけど気にしない。少しは痛みを思い知れば良い。


「はっ! あんなヤツらのことよりも、この子のこと何とかしなきゃ!!」


 我に返った私は、急いで白い狼の傷を治そうと思い、白い狼の側にしゃがむ。


「今、治してあげるのです」と白い狼の頭を撫でながら声を掛ける。


「くぅーん」と力なく鳴いて返事をする白い狼。


 私は心の底から、この子が治りますようにと強く念じ呪文を唱えた。


「この白い狼を癒して!ハイヒール!!」


 すると、オレンジ色の暖かい光が白い狼を包み込む。光が消えると、白い狼が起き上がり、周りをキョロキョロしてる。まるで何が起きたのか理解できないようだ。首をかしげてる。


「うん! 元気になって良かったのです♪」


 そう言って、私は白いワンコの首に (ワンコじゃないけど) 抱きついた。白くて綺麗な、ふわふわした毛皮の感触が心地よい。このまま眠ってしまいたいな〜と思ってたら声がした。


「そこらで、そのもの達を許してやってはくれまいか、人の、子、よ? お主、人ではないのか? これはたまげたの〜。魔族がこんな所に何の用なのじゃ?」


 顔をあげると白いもふもふの向こう側に、青白い、けれど綺麗なクールビューティーがいた。


< 解説コーナー >


龍の杖(短い)の青い珠は、雪音の魔力の流れを感じとって、淡く青く光るだけです。杖に威力倍増の効果を神様はつけていません。破壊不能オブジェクトではありますが。魔法の杖としては、ただの光るオモチャです。


狼達の使った、つららの魔法は、工事現場の三角コーンを細長くした小さい物だとイメージしてくださいませ。威力としては野生の動物にささるのが、やっとぐらい?


雪音の言葉使いに関してですが、助詞の「を」が抜けていたり、食べている→食べてる、みたいに「い」が抜けていることが時々あるのは、彼女の口調の仕様です。意図的に「を」や「い」を抜いています。

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