第10章 雪音ちゃんと村娘達 111 〜 冒険者達、魔剣の黒い炎を発動させて亡者と戦ってみる!①〜
雪音ちゃん達によって亡者達に襲われていたところを助けられたグリズリーが、雪音ちゃんの服の後ろ襟をパクッと咥え、雪音ちゃんが抱きしめていた雪狼のクゥーごとヒョイッと宙に放り投げ、風魔法を使って自分の背中へと乗せてしまう!
そして、2匹の仔熊と共に滝の裏側に向かって移動しようとするので、それに慌てた雪音ちゃんがグリズリーに何か話し掛けたかと思うと雪音ちゃんと雪狼のクゥーを背中に乗せたグリズリーと仔熊達は、雪音ちゃん達が行こうとしていたスケルトンズ・ウエイルのダンジョンのある方角に向けて走り出してしまった!
置いてけぼりにされた巨乳銀髪日焼け娘のラピと爆乳ツインテール吸血鬼のラスィヴィア、亡者を引き寄せてしまう魔剣を所持してる冒険者4名は、グリズリーの背中に乗って先に行ってしまった雪音ちゃんと雪狼のクゥーの跡を追い掛け始めるのであった!
「それでは、みなさん、雪音ちゃんの跡を追い掛けるのですよー♪」
とラピがラスィヴィアや冒険者達に声を掛けるが、
「雪音様と合流するまでラピ様を私の独り占めにできるのですわぁ〜ん♪」
と言ってラスィヴィアはラピに抱きついたまま幸せそうな表情を浮かべ、ラピから一向に離れようとしない!
「ラスィヴィアさん、移動しますから離してくださいねー?」
「うぅ〜、もう少しだけラピ様に抱きついていたかったのですわぁ〜ん」
「ラスィヴィアさん! 抱きつきたいんだったら、いつでも俺っちの胸を貸すぜ!」
チャラ男が「さぁ! 俺の胸に飛び込んでおいで!」とでも言うように両腕を広げて待ち構えている!
「馬鹿なんですの? どうして、この私がお前なんかに抱きつかなくてはならないのかしらぁ〜ん?」
ラスィヴィアは「この下等生物が!」と言わんばかりの冷たい視線をチャラ男に送った!
「マイケル、お前、絶対馬鹿だろ?」
「どうしようもないほど馬鹿ですよねー」
「どうして抱きついてもらえると思ったのか理解に苦しむな」
「ヤバい! ラスィヴィアさんのあの目つき、超最高っ!! その目で俺っちをもっと罵って欲しいじゃん!」
「「「ヤバいのはお前の頭だ!!!」」」と短気のマッド、ロリコンのライト、リーダーのピートは突っ込んだ!
「ラピ様、あの人間の目を潰し」
「潰しちゃダメですよー? 私達は護衛として雇われているのですから今は我慢してくださいねー?」
ラピはそう言ってラスィヴィアを宥めながらロリコンのライトにふと思ったことを尋ねてみた!
「あっ、そうそう、ライトさんにお話があるんですけどー、先ほどの戦いで若干押され気味だった時にどうして魔剣の黒い炎を使わなかったんですかー? 亡者を消滅させることができる黒い炎を発動させていれば簡単に押し返せたと思うんですけどー?」
「ラピさんの言う通りじゃね!? ライト、お前どうして黒い炎使わなかったんだよぉおおお!?」
「言われてみればそうだな。ライト、どうして使わなかったんだ?」
「単に忘れてただけなんじゃねえか? 俺らだって今、銀髪の姉ちゃんに言われて思い出した訳だろ?」
チャラ男のマイケル、リーダーのピート、短気のマッドが疑問を口にした!
「すみません。腐った黒山羊がたくさん出て来たことに驚いてそれどころではなかったものですから」
「そう、だな。リーダーである俺も気付けず指示が出せていなかったのだからライトだけ責める訳にもいかないな。すまん、ライト」
「あはは。そう言ってもらえると助かります」頬ポリポリ。
「そんじゃあさ、とりあえず次に亡者どもが来たら試しに使ってみれば良いんじゃね?」
「ああ。亡者を消滅させることができるってえ金髪の嬢ちゃんの話が本当かどうか雑魚の亡者どもで確かめておくのも有りかもな!」
マッドの発言を聞いたラスィヴィアは顔を顰め、両腕を組んで豊満なお胸を強調させながら威嚇するかのように肩を揺らして短気のマッドへと近付き、マッドの喉元に手刀を突き付けた!
「お前、まだ雪音様のこと疑っているのかしらぁ〜ん? そんなに八つ裂きにされたいのでしたらお望み通り八つ裂きにしてあげてもよろしくてよ?」
「ち、違うぜ!? ただ、魔剣の黒い炎が亡者どもに対してどれほどの効果があるか分からねえから、ちいとばかし不安だっただけで」
「その思いを払拭したかったと言う訳ですねー? ラスィヴィアさん、そこの短気で口が悪くて人の話をなかなか信じようとしない方でも、その魔剣の力が発揮されるところを目の当たりにすれば自分がどれだけ無駄な思考に時間を割いていたか思い知ると思いますので今は見逃してあげましょうねー?」
「そ、そこまでボロクソに言わなくても良くねえか?」
「ラピ様がそうおっしゃるのでしたら……。お前、次に雪音様を冒涜するような発言をしたら、その首刎ねて差し上げますわぁ〜ん」
ラスィヴィアはマッドの顎を撫で上げるようにして指を這わせた後、マッドから離れて行った!
「ビ、ビビったぜ……」
額にかいた汗を拭うマッド!
「マッドぉおおお!? おま、何ラスィヴィアさんに顎撫でてもらってんだよぉおお!? ズルいじゃんか!?」
「今の見て羨ましがる要素なんてねえだろうが!? 俺は殺されるかと思ったんだぞ!?」
「馬鹿は放っておくとして、ライト。黒い炎を発動させる言葉は覚えているな?」
「もちろんです! 亡者達が来たら早速使ってみたいと」
「ライトさん、ご希望の亡者さん達が来たみたいですよー! 黒い炎の準備をお願いしますねー!」
「なっ!? もうですか!? “す、全てを無に帰する浄化の黒い炎よ!” は、発動しない!? どうしてですか!?」
「ライト、落ち着け! 魔力はエメラルドの魔石にきちんと流し込んだのか!?」
リーダーに言われて自分の失敗に気付くロリコン!
「はっ!? そ、そうでした! “全てを無に帰する浄化の黒い炎よ!”」
ロリコンは魔剣の柄に埋め込まれている大きなエメラルドの魔石に手から魔力を流し込みながら黒い炎を発動するキーフレーズを唱えた!
———— はぁ〜〜〜。くっそマズい魔力なのじゃ……。しかし、主様との約束なのじゃ。約束を守らねば妾は忘れられたら自ら出ること能わぬ地獄の魔法の袋行き。それはイヤじゃから黒い炎を発動させるのじゃ……。まったく、あのような雑魚相手に黒い炎を使わねばならぬとは、なんと嘆かわしい…… ————
魔剣ディーア ( 正式名称オーディーアル ) の意識体はため息をつきながら己の黒い剣身から黒い炎を噴出させた!
「やりました! 今度は発動しましたよ! それで亡者達はどこに!?」
「向こうの林の上だ! 骸 骨空魚の群れが木々の間で漂ってって、おいおい、一斉にこっち向きやがったぞ!?」
「まだ俺らと結構距離が離れてるのにおかしくね!?」
「マイケル、グダグダ泣きごとを言うな、来るぞ! 全員散開して剣を構えろ!」
木々の間を縫うようにユラユラのんびりと回遊していた全長約80cmの骸 骨空魚の群れはロリコンが魔剣から黒い炎を発動させた途端、まるで獲物を見つけたかのように眼窩に浮かぶ魔力の炎をピカッと一瞬赤く光らせ、深海魚ホウライエソの口に生えている牙のような歯をカシャンカシャンと噛み合わせながらロリコンに向かってまっすぐ一直線に猛スピードで迫って来た!
「はいぃいいいいい!? どど、どうして俺にだけ向かって来るんですかぁあああああ!?」
———— それは黒い炎を発動してるからに決まっておるのじゃ! 黒い炎が発動しておる間に亡者どもを全滅させないと試練を受けている者達が助からぬのでな。ゆえに、黒い炎に亡者どもが群がるのは仕様なのじゃ! しっかし、あのような雑魚亡者なんぞにせっかく主様から頂いた極上の魔力を消費してしまうとは、もったいなくてもったいなくて涙が出そうなのじゃ ————
「ひぃいいいいい!? 来るな!? 来るなぁあああああ!!!」
ロリコンは半狂乱になりながら魔剣ディーアを振り回し、上空から次々と襲い掛かって来る骸 骨空魚を叩き斬っていく!
黒い炎を纏った魔剣ディーアによって真っ二つに斬られた骸 骨空魚は黒い炎に一瞬包まれたあと無数の白い光の粒子になって風にサラサラと流されていくかのように消えていった!
「おぉおおお!? すっげー!! 斬られた骸 骨空魚が次々と消えて行くじゃん!」
「こ、これがあの魔剣の力なのか!? 骸骨系亡者の再生の要である魔石を破壊することなく闇雲に斬った1撃で消滅させていくとは!?」
「おいおいマジかよ!? 金髪の嬢ちゃんが言ってたことは本当に嘘じゃなかったんだな!?」
「「じーーーー」」
ラピとラスィヴィアはジト目をマッドに向けている!
「いや!? もう嘘だなんて言わないぞ!? アレ見たら流石に俺もアンタらの言うこと信じるぜ!?」
「でしたら、もう2度と雪音様に不敬な態度を取らないでくださいまし。よろしいかしらぁ〜ん?」
「も、もちろんだぜ」
「今の言葉、忘れないでくださいねー? アレを見た上で雪音ちゃんに酷いこと言うようでしたら氷漬けにしちゃいますからねー?」
ラピはマッドに向かってにっこりと微笑んだ! が、その身体からは冷気がユラユラと立ち昇っていた!
「お、おう!? もも、もちろんだぜ! ( なんだこの威圧感と冷気は!? ツインテールの姉ちゃんよりも、こっちの銀髪の姉ちゃんの方がおっかねえぞ!? )」
「のん気に会話なんてしてないで倒すの手伝ってくださいよぉおおおおおおお!!!」
ロリコンは半泣きになりながら魔剣を振り回し、助けを求めて絶叫している!
「私は会話しながらでも、ちゃーんと氷魔法を使って遠距離にいる骸 骨空魚さんの群れの上に氷柱を大雨のように降り注がせて、こちらに向かって来る数を減らしているのですよー?」
「そうですわ! ラピ様のおかげで楽ができているのですから文句言うものではありませんわぁ〜ん」
ラスィヴィアはエッヘンと爆乳を張って誇らしげだ!
「おい、銀髪の姉ちゃんはともかく、あんたは何もしてねえだろ!? なんでそんなに偉そうなんだ!?」
マッドは思わずラスィヴィアに突っ込んだ!
「おーっほっほ、役立たずはお互い様なのですわぁ〜ん。お前達だって何もしていないのですわぁ〜ん」
手の甲で口元を隠しながら笑うラスィヴィア!
「そ、それは仕方ねえだろうが!? アイツら、こっちには見向きもしねえでライトに向かって行くんだからよお!?」
「それに、俺っち達、遠距離魔法とか使えないからどうしようもないしな? でも、ま、あの調子なら多分大丈夫なんじゃね?」
「ああ、ライトがあの黒い炎を纏った魔剣を振るった際、その軌跡に置き土産のように浮遊している黒い炎に骸 骨空魚が突っ込むと骸 骨空魚は浄化されるのか光になって消えていくからな。しかも、黒い炎の壁はライトが魔剣を振れば振るほど、その層が厚くなっていくようだからライト1人に任せても問題ないと」
「問題大ありですよ!? 1人でも出来ると思うならピート、俺と交代してくださいよ!? この魔剣、渡しますからぁあああ!!!」
「あー、すまん!! 町に無事に帰れたら1杯奢るから、そのまま頑張ってくれ!!!」
ピートは申し訳なさそうな顔で両手を合わせロリコンに謝罪した!
「1杯じゃ割に合いませんよ!? なら、マイケルでもマッドでも良いですから俺と変わってください!!」
「骸 骨空魚がバンバン飛び込んで来てるところで剣の受け渡しとか流石にちょっと無理じゃね?」
「だな。ライト、悪いが1人で頑張ってくれ! お前が持ってるその魔剣の力を信じろ! お前の大好きな、あの金髪の嬢ちゃんのお墨付きだろ?」
ライトを物理的に援護できないと思ったマッドは、とりあえずロリコンの気分が上がるようなことを言ってみた!
「そーそー、その魔剣があれば余裕だって! 俺っち達の分まで頑張るじゃん!」
チャラ男はロリコンに向かってウインクしながらサムズアップした!
「こ、こぉの薄情者ぉおお!! こんちくしょおおおおおおお!!!」
ロリコンは仲間達に抱いた怒りを次々と飛び掛かって来る骸 骨空魚に泣きながらぶつけていくのであった!
「あらあらー、お仲間さんに見捨てられちゃいましたねー。( うーん、向こうの林で氷柱をたくさん落としているのに、こっちでも魔法を使っちゃったら『2種類の魔法を同時展開だとぉおお!?』とか言ってビックリされちゃいますよねー? お仲間さんが大丈夫って判断されたのですからこのままでも良いかなーって思うんですけどー、でも、ちょっと可哀相ですよねー? ラスィヴィアさんに救いの手を差し伸べてもらうことにしましょー! ) ラスィヴィアさーん、ライトさんの援護、お願いできますかー?」
「ラピ様の頼みとあらば喜んで援護致しますわぁ〜ん♪ そこの憐れな人間、私が慈悲を与えてあげますから泣き言を言うのはお止めなさい!」
そう言って爆乳ツインテール吸血鬼ラスィヴィアは胸の谷間に手を突っ込んでブルーウォータ◯みたいな形をした1つの転移魔石を取り出し、それをロリコンの前の地面に放り投げた!
すると、青い光の粒子達が周囲から収束し始め、集まった青い光が大きく弾けると、そこには1匹の身体が少し大きな、青いお目目をしたキジトラ柄の猫の姿があったのであった!




