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第10章 雪音ちゃんと村娘達 108 〜 ゾンビ黒山羊との戦いが終わって②〜

 とりあえず、ロリコン剣士(ライト)のせいで変な空気になっちゃったから、この空気を変えるために私は別の種類の爆弾を落としてみた!


「ところで私、そこのマッドって人に色々と暴言はかれたんだけど謝罪の1つぐらい言ってくれても良いと思わない? 周りの人も強く止めてくれなかったよね? あと、私が魔剣に込めた魔力のせいで大量に亡者達がやって来ちゃったとは言え、ゾンビ黒山羊(ベーゼゴウト)達の電撃攻撃から守ってあげたのに感謝の一言もないし?」

「「「「あっ!?」」」」

「あー、言われてみるとそうですねー。さっきの腐った(ロトン)黒山羊(ベーゼゴウト)達の電撃で()られちゃっててもおかしくなかったですからねー」

「がぅがぅ」うんうんと(うなず)くクゥー!

「でしたら、ここで手を引いてアヴァリードの町へ帰るのはいかがかしらぁ〜ん? (わたくし)早くお風呂に入ってさっぱりしたいのですわぁ〜ん」


「ま、待って欲しいじゃん、じゃなくて待ってください! 俺達が悪かったです! 今までの暴言、すんませんでしたーー! 特にマッドの奴が!! さっきも危ないところを助けてくれてありがとうございます! ( あと、宿屋であんなガキとか言ってごめんなさい! )」

「疑ってすまなかった。心から謝罪するのでライトの持つ試練の宝剣を元の場所に戻すまで一緒に行動してくれないだろうか?」

「雪音ちゃん、今更だけれど助けてくれてありがとう! さっきは君を疑ってしまってごめんね? お詫びに俺がいつか孤児院を開いたら、そこで雪音ちゃんが成人するまで養ってあげることを約束するよ!」


 それ、お詫びじゃなくて罰ゲームだよね!?


「全力でお断りさせてもらいます!」

「そ、そんなぁ!?」


 ロリコン剣士(ライト)は私に振られて真っ白になった!


「おい、マッドも謝れって! お前が1番失礼なこと言ってたんだからな!?」

「そうだぞ、マッド。きちんと謝るんだ!」

「うっ!? わ、悪かったよ。あんたらの言うことが正しかった。色々とひでえこと言っちまって、その、す、すみませんでした。これで良いか? 俺のことはあとで煮るなり焼くなりしてくれて構わねえから仲間を助けてやってくれ、じゃなくて、助けてください」

「どうしますー、雪音ちゃん?」


「謝ってくれたからね。もちろん(ゆる)してあげるし、一緒に亡者達と戦ってあげるよ!」

「ほ、本当か!?」

「た、助かったじゃん」

「恩に着る!」


「じゃ、亡者達からあなた達を守る護衛料、1人銀貨20枚払ってね♪ あっ、大銀貨2枚でも良いし、大銀貨1枚と銀貨10枚でも良いからね?」


 ちなみに、銀貨1枚は日本円に換算すると約1万円ぐらいだよ!


「は、はぁああああ!? か、金取るのかよぉおおおお!?」

「マジかよ!? た、高過ぎじゃね?」

「ぎ、銀貨20枚は高過ぎではないか!?」

「あ、あの、雪音ちゃん、も、もう少し安くなりませんか!?」


「1人銀貨20枚、鐚一文(びたいちもん)負けないわよ?」

「びたいちもんって何かしらぁ〜ん?」


 うん、こっちの世界で通じる表現じゃなかったね!


「少しの金額も負けないって意味だよ!」

「そこをなんとか!」

「デッバーやバーゲルの兄貴達はお金なんか要求して来なかったのに……」


 なんか私、悪者っぽくなってる!? やっぱり人助けした時、ちゃんと謝礼金(もら)っておかないとダメだよね! 苦労と時間を掛けたのにタダ働きになるなんて許せないもん! 甘やかすの禁止! それにコイツら冒険者だし!


「じゃあ聞くけど、あなた達は魔物に(おそ)われてる人達がいたら無償で助けてあげるの?」

「も、もちろんだぜ!」

「マッドの言う通り助けるに決まってるじゃん!」

「人として当たり前だろう!?」

「助けます! あっ、でも、助けたあとのお礼は少し期待しちゃいますけど」


 ロリコン剣士(ライト)は正直者だね!


「じゃあ、ある日、立ち寄った村の村人達から魔物に村人が(おそ)われて被害が出てるから魔物を退治して欲しいって言われても無償で助けてあげるの?」

「「「「そ、それは……」」」」


 あら、みんな黙り込んじゃったね? これも無償で助けるって言えないんだ? まっ、言えないよネー? ギルドの討伐依頼とかでもありそうな内容だし?


「みなさんがもし私達の立場だったら無償で亡者の団体さんと戦うんですかー? さっきのような戦いがあと何回続くか分かりませんけどー、結構面倒くさいですよねー?」

「うっ!?」

「そ、それは……」

「無償はちょっと……」

「バーゲルやデッバーの兄貴達がついて来てくれれば良かったのに……」

「冒険者が自分の手でなんとかできないのでしたら冒険者なんて止めてしまえば良いのですわぁ〜ん」


「いやいや、ラスィヴィア、それは話が飛び過ぎでしょ?」

「そうですねー、自分達の手に負えないなら人を頼る。頼るならお金を払う。ただそれだけの話だと思いますけどねー」


「ちなみに、バーゲルやデッバー達は私が管理してる犯罪奴隷で、私が命じた ( 私が保護してるお姉ちゃん達が自分達の村に帰るための転移先座標を確保するってゆー ) 大事な任務があるから、あなた達と一緒にダンジョン潜りなんてさせられないよ? 予定が大幅に狂っちゃうからね! それに、あなた達が亡者の群れに(おそ)われる羽目になってるのは、偶然じゃなくて、あなた達自身が招いたことでしょう? それなのに他人にタダ働きさせようだなんて虫が良過ぎると思わない?」

「あっ、でもですねー、雪音ちゃん。雪音ちゃんが呪われた魔剣に魔力を込めちゃったせいでもあるんですからー、ここは半額に負けてあげても良いんじゃないですかー?」


 ———— だから、(わらわ)を呪われた魔剣扱いするなと何度も ————


『はいはい、ディーア、今大事な商談中だから大人しくしててねー? うるさいと魔法の袋に突っ込むわよ?』


 ———— っ!? わ、分かったのじゃ!? 大人しくするのじゃ! 魔法の袋行きはイヤなのじゃ〜!? ————


「そ、その通りだぜ! (おそ)って来る亡者の数がありえないほど多いのは金髪の嬢ちゃんが魔力込めたせいなんだから折半(せっぱん)ってことで半額にするべきだろ!? なっ!?」

「あなたは天使か!?」

「銀髪の巨乳ちゃん、マジ天使!」

「無駄な脂肪を胸につけている女性を素晴らしいと思ったのは今日が初めてです!」


 ちょっと、変態ロリコン剣士(ライト)! 私がおっきくしようと思ってるお胸を無駄な脂肪とか言わないでくれる!? ってか、そんな変態ロリコン剣士(ライト)が私に反応してるってことはこの世界だと私のお胸の大きさじゃ、まだまだ貧乳扱いなの!? oh〜、知りたくない事実を知っちゃったよ……。最近、豊胸マッサージでちょっと大きくなったんだけどなぁ……_| ̄|○


 むー、なんかムカムカして来た! このまま半額にするのはなんかヤダ! あっ、そうだ! 夜更かしは美容の大敵なんだから深夜手当ってことで、もう少し上乗せしちゃっても良いんじゃないかな? よし、決めた!


「雪音ちゃん?」

「うん、そうだね、じゃあ日中の護衛料は半額の銀貨10枚で良いよ! でも、深夜手当つけるの忘れてたから、それを加えて1人銀貨15枚にしてあげるよ♪」


「雪音ちゃん……」

「がぉー」

「雪音様、意外と守銭奴なのですわぁ〜ん」

「はっ!? 深夜手当ぇええええ!? 今、半額で良いって言った直後に値段つり上げるのかよ!? おかしいだろ!?」

「マッド、落ち着くんだ! 最初銀貨20枚だったものが15枚になったんだ! それで良いじゃないか!」

「はっ!? 金額は高いですがお金さえ積めば雪音ちゃんを雇うことが可能ということですよね!? い、1時間雇うとしたら銀貨何枚で雇われてくれるのですか!? 今後の参考のために是非教えてください!!」

「ライト、お前ちょっとこじらせ過ぎじゃね!?」


「あなた達の護衛をするのは今回だけだよ! もし私をまた雇いたいなら次は倍の金額払ってちょうだい!」

「そ、そんな〜」


 私は腰にぶら下げてた小さい魔法の袋を手に取り、冒険者達の前に袋の口を開いて差し出した!


「ライト、これ以上変なことを言うんじゃない!」


 チャリチャリーン。


 まずリーダーさんが率先して銀貨15枚入れてくれた!


「ほら、お前達も早く袋に銀貨15枚入れるんだ! 金髪の魔法使いさんの気が変わらないうちに!」

「もちろん、入れるに決まってるじゃん!」チャリチャリーン。

「うぅ、雪音ちゃん、お願いします」チャリチャリーン。

「銀貨10枚で良いと思ったのに銀貨15枚とか、そりゃねえだろ……」

 

「ほら、マッドも渋ってないで早く入れるんだ!」

「くっそぉおおお!! 入れりゃあ良いんだろ、入れりゃあよぉおお!! 今日は厄日(やくび)だぁあああああ!!!」


 マッドが血の涙を流しながら私の差し出した袋の中に銀貨15枚を入れてくれた! まぁ、血の涙を流しながらって言うのは冗談だけど、そこまで悔しそうな顔して涙流さなくても良いじゃない?


「じゃあ、亡者達から守ってあげるって言う護衛依頼成立ってことで防御魔法を掛けてあげるね?」


 私は青い宝珠を(くわ)えた龍の杖を振って4人の冒険者達の身体の周りに青半透明色の盾を展開してあげた! まぁ、盾って言うより鎧っぽい感じなんだけどね?


「こ、これは!?」

「ぼ、防御魔法!?」

「すげー!」

「雪音ちゃんは色々な魔法が使えるんですね! ますますお嫁さんに欲しいです!」


「全力でお断りします! 他を当たってください! いい加減しつこいです!」

「そんなぁ!? ふがっ!? ふがっ!?」

「うちの馬鹿(ロリコン)が迷惑を掛けて本当に申し訳ない!!! それで、この防御魔法はどの程度の攻撃を耐えられるのだろうか?」


 リーダーさんが後ろからロリコン(ライト)の口を手で(ふさ)いで私に謝罪しながら質問をして来た!


「んー、多分さっき戦ってた亡者ぐらいの攻撃力なら3回は防げると思うよ。攻撃を受ける度に色が変わってって、赤くなってから攻撃受けると消えちゃうから、色が赤くなったら注意してね?」


 神様に盾弱体化させられちゃったから使い勝手悪くなっちゃったんだよネー。今まで弱い攻撃なら何回受けても問題なかったのに……。しくしく。


 あっ、そうだ! ちっちゃい六角形の盾を大量に作って(はち)の巣みたいに並べてみたらどうかな!? 六角形同士を連結させるんじゃなくて1mmぐらいの隙間(すきま)を開けて並べるの!


 そうすれば、六角形の盾はそれぞれ別の盾扱いになるだろうし、1箇所の盾が壊されちゃっても他の盾の部分が残るはずだから、刺突攻撃とか矢とか魔法の攻撃が空いた穴から入って来ない限り問題なくなるんじゃないかな!? うん、私、あったま良い〜!


 私は4人に掛けた防御魔法を解除して今思い付いた蜂の巣(ハニカム)型の魔法の盾をまずリーダーさんに掛けてみた!


 あっ、これ結構な魔力消費しちゃうかも!? うーん、あとあとのこと考えて全身覆うように使うのは止めておいた方が良いのかな? とりあえず、前面にだけ展開させておこうっと! さっき4人が戦ってた時、背後をお互いにカバーしながら戦ってたから多分大丈夫だよね?


 私はリーダーさんの後方に展開した部分をロリコン(ライト)の前面に移動させ、残る2人には蜂の巣(ハニカム)型の魔法の盾を新しく作ってあげた!


「あれ? さっきと形、変わってね?」

ハニービー(蜜蜂)の巣みたいな形になったぞ?」

「なんかちょっと気持ち悪いですね?」

「ライト、失礼なこと言うんじゃない!」


 あー、うん、人によっては気持ち悪く見えちゃうかも。だから私はそんなことで怒ったりしないからリーダーさん安心して欲しいな?


「でも、さっきの防御魔法よりこっちの方がずっと耐久力あるんだよ? その分、魔力の消耗もおっきいけどね? でも、亡者いっぱい出て来るから、こっちの防御魔法の方が良いかなって思って掛け直したの!」

「あ、ありがとうございます!」

「雪音ちゃん、どうもありがとう! 魔力を大量に消耗してまで俺を、ふがふが!?」

「か、感謝する! だが、このような魔法があるならば先ほどの戦いで使っていただきたかった……」

「ピートの言う通りだぜ……」


 さっきも弱い奴だけど、ちゃんと防御魔法は掛けてあげてたんだよ? 透明バージョンにしてたから気付かなくても仕方ないんだけどね?


「依頼料(もら)ったから気にしないで良いよ! じゃあ、ダンジョン行くよ〜!」

「雪音ちゃん、ダンジョンの場所知らないのに歩き出すのは止めましょうねー?」


「うっ!?」

「がぉー」

「雪音様、スケルトンズ(骸骨の)ウエイル(嘆き)のダンジョンでしたら、こちらの方角だったと思いますわぁ〜ん」


「あ、うん、そっちね。ラスィヴィア、ありがと♪ じゃあ気を取り直して、しゅっぱーつ!」


 私はラスィヴィアに向かってにっこりと微笑んだ!


「ど、どういたしましてなのですわぁ〜ん♪」


 なんかラスィヴィアがちょっと照れていた! ふむ、ラピだけじゃなくて私にも懐いて来たのかな? デレ期到来? でも、私はラピみたいにお尻は踏んづけてあげないよ?


 私達は亡者達を引き寄せちゃう魔剣が地面に刺さっていたと言うダンジョンに向かって歩き出した! すると、


『雪音ちゃん、雪音ちゃん、さっきのは新しい魔法ですかー?』


 ってラピがテレパシーの魔法を使って私の頭の中に話し掛けて来たから、私もテレパシーで返した!


『そうだよ〜。ほら、こないだ神様に魔法の盾を弱体化させられちゃったでしょ? こうしたら盾の強化ができるんじゃないかなって今ふっと思い付いたから新しい魔法の盾を作ってみたの!』

『神様に弱体化された魔法の盾を強化しちゃったんですかー!? 神様の意向を無視しちゃうなんて雪音ちゃんは悪い子さんなのですよー♪ でも、どうやって強化したんですかー? 六角形の模様がたくさん並んでいますけどー、アレってもしかして1つ1つが魔法の盾だったりするんですかー?』


『うん、そうだよ! よく分かったね! でも、実は盾と盾の間にはわずかな隙間(すきま)が空いてるの! 隙間(すきま)なく並べて1つの盾って判断されちゃうと意味なくなっちゃうからね! 前までの盾 ( 球状・半球状・鎧状など ) は3回攻撃受けたら壊れるようになっちゃったけど、新しく作った蜂の巣(ハニカム)型魔法の盾なら、3回攻撃された小さい盾の部分だけが壊れる形になってその周りの小さい盾達は残る形になるから、穴の空いた部分を1点突破するような攻撃じゃなかったら残った部分で敵の攻撃を防げるんだよ!』

『神様もびっくりの所業ですねー♪ 流石(さすが)、私の雪音ちゃんなのですー♪ 』


『でしょ、でしょ〜♪』

『でも雪音様ぁ? それって単に魔法の盾を大量に展開させてるだけとも言えますから魔力の消耗が激しく無駄が多そうでもったいないのですわぁ〜ん』

『がぅがぅ』うんうんと(うなず)くクゥー!


『うっ、それはまぁ、その通りなんだけど、ほら、ロリコン(ライト)とそのお仲間さん達に常に注意を払って、彼らに掛けた初期型魔法の盾が壊れるたんびに魔法を掛け直すよりはめんどくさくなくて良いんじゃないかな〜と思ってみたり……』


『そう言うことでしたら納得なのですわぁ〜ん』

『がぅがぅ』

『私達は壊れたら自分で掛け直しできますけど、あの方達はできませんからねー。でもですねー、雪音ちゃん、依頼料を(もら)っているのですから、常にあの方達に気を配らないとダメだと私は思うのですよー?』


『う、うん。分かってるよ? でも、みんなも気を配ってあげてね?』

『はい、もちろんなのですー♪ 雪音ちゃんはうっかりさんですからねー♪ 雪音ちゃんがポカした時は私達でしっかり“ふぉろー”してあげるのですよー♪』

『がぅがぅ!』まかせてー!

『下等生物のお守りなど気乗りしませんが雪音様からのお願いですから聞いて差し上げるのですわぁ〜ん』


『うん、みんな、ありがと♪ あっ、次の亡者の団体さんの登場だよ! みんな、お願いね!』


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